2004年1月21日(水)「しんぶん赤旗」
消費税増税をめぐって、いろんな疑問が出されています。問答形式で考えていきます。
小泉首相は消費税率の引き上げについて、繰り返し「やらない」といっているのに、なんで騒ぐの。
安心したら大変です。小泉首相が「やらない」といっているのは、「私の在任中」のこと。小泉首相がいつまで首相なのかは別にして、長くても自民党総裁の任期が切れる二〇〇六年九月までのことです。小泉首相も「将来、消費税を上げざるをえない状況になる」(〇三年十月十日、深夜の民放テレビ番組)と、任期後の増税までは否定していません。
実際、二〇〇七年度へ向け、いっせいに消費税増税への動きが活発になっています。
政治を引っ張る形で将来の消費税18%を提言してきた日本経団連の主張は「遅くとも〇七年度までに消費税率を10%に引き上げる」というものでした。そのために〇五年春から本格的調整・準備に入り、〇六年春には増税法案を成立させないと、〇七年四月実施には間に合わないとの日程表まで描いています。
たとえ小泉首相の任期中の増税法案成立であっても、増税実施が任期後であれば、首相の“公約違反”にはならない−−こんな勝手な解釈も働いています。
日本経団連は、政治献金をテコに消費税増税で自民党と民主党を競わせようともしています。
これに呼応するように、民主党は昨年の総選挙で基礎年金の財源に消費税を充てることをマニフェスト(政権公約)に盛り込みました。一方、自民党と公明党は総選挙後に合意した〇四年度「税制改正大綱」で、二〇〇七年度をめどに「消費税をふくむ抜本的税制改革を実現する」と期限を示して消費税増税を打ち出しました。
消費税増税は先のことなどといってはいられない状況です。
小泉首相の「任期中は消費税を上げない」という発言は、別の“効果”も狙ったものです。消費税大増税しかないという環境づくりです。
当面は消費税増税以外に財源を求めるとして、社会保障の給付削減と負担増にいっそう大胆となり、厚生年金保険料の連続引き上げやお年寄りを狙いうちにした年金課税などを相次ぎ打ち出しました。
小泉内閣が、これまでに決めた負担増(平年度)はすでに約四兆円です。さらに約三兆円の負担増(同)を計画しています。
「『もうこれ以上、予算を削減するのはやめてくれ』というときに初めて、財源がないから消費税を上げるというならわかる」
小泉首相が昨年九月二十二日、第二次改造内閣発足後の記者会見で語った言葉です。国民をこれでもかと痛めつけ、悲鳴をあげさせることで“もう消費税増税しかない”という世論をつくる作戦です。
七月の参院選は、こんな卑劣な連続負担増作戦の是非を問う選挙ともなります。 (次回から経済面)