2004年1月15日(木)「しんぶん赤旗」
日本共産党の不破哲三議長は十三日から十四日にかけて、二十三回党大会の会場で、中国共産党、アメリカ共産党、ドイツの民主的社会主義党、チュニジア立憲民主連合、ハンガリー労働者党、ドイツ共産党、ベトナム共産党からの来賓と懇談しました。
不破議長は十三日、中国共産党中央対外連絡部の張鳳洲副秘書長らと懇談。張氏は、「代議員が真剣に大会に参加する姿に、理想と信念の追求を感じた」と語りました。また日中両党関係正常化後の約六年間に「両党関係が健全に順調に発展していることをうれしく思う」とし、新しい情勢の下で関係がさらに発展することを希望するとのべました。
これにたいして不破氏は、今回の綱領改定案には「六年間の両党関係の発展も反映されている」と説明。中国の状況について「六年間の交流と実際の経験を通じ、私たちなりの判断をもつことができた」と語りました。
張氏は、第三回アジア政党会議が北京で開催されることになることを紹介。アジアの政権党、代表的政党が参加するこの会議に、日本共産党の参加を要請したいとのべました。
これにたいし、不破氏は、タイでの第二回会議に参加しており、正式に招待されれば喜んで参加することになるだろうとのべました。
鉄鋼労働者として長年、労働運動をしてきたアメリカ共産党のスコット・マーシャル副議長は議長との懇談で、「不破議長も鉄鋼労連で働いていたそうですね」といいながら、二十数年ぶりのアメリカ共産党代表として党大会に出席したことについて、「ここにいられてうれしい。わが党にとって非常に重要なステップです」と強調。さらに「党関係を新たに正常化したことを喜んでいます」とのべました。
不破議長は、鉄鋼労連で活動していた時代にアメリカの労働運動について研究したとのべ、マーシャル氏の大会出席を歓迎。不破氏は「関係正常化を形だけのことにせず、実際的な活動の交流を発展させましょう」とのべました。
不破議長は十四日、ドイツの民主的社会主義党(PDS)のヘルムート・エッティンガー国際部副部長と懇談。懇談でエッティンガー氏は、綱領改定案の民主連合政府について、(1)どういう勢力をパートナーと考えているのか(2)日本共産党は主導的役割を担うのか―と質問。不破氏は、「将来どの党と組むことになるか、固定的な構想は立てず、情勢が進展して、国民の運動が大きくなれば、提携できる政党が必ず現れるという展望に立っている」とのべ、「綱領では『民主的党派』と協力するという一般的方針にとどめている」と説明しました。
また、民主連合政府で果たす日本共産党の役割について不破氏は「その時の状況による」とのべつつ、「どんな場合でもきちんと協定を結んだら、その枠内で仕事をするという基本は変わりない」と強調。地方自治体で日本共産党員が首長のところでも、「無党派の市民団体、市民勢力と協定を結び、それにもとづいて活動している」と語りました。
ヘルムート氏は、ドイツでPDSは二州で社会民主党と連立政権を組んでいると紹介、「日本共産党は地方議員第一党であり、その経験は私たちにとっても重要だ」と強調。不破氏は「お互いの経験を交流する機会をぜひもちたいですね」とのべました。
チュニジア立憲民主連合のアブデラハメン・ブフリジ副書記長との懇談の冒頭、不破議長は、昨年七月に同党の大会に参加した際の記録をまとめた本『チュニジアの七日間』を贈呈。ブフリジ氏は「うれしい驚きです。今大会に参加しているアフリカの党はわが党だけですが、日本共産党との関係が深まるのは、たいへんうれしいことです」とこたえました。
ブフリジ氏は、「日本共産党の思想は、真の社会主義をつくる思想、世界の諸問題を解決する思想だと感じた」と感想を述べ、「世界は一極では生きていけない。他の諸民族とともに人類的に発展していく必要がある。それぞれの国民の幸福を実現しないといけない」と語りました。
これにたいし不破氏は「複雑な社会のなかであなた方が勝ちとったその考え方は、世界に求められているものです。いろいろな問題に立ち向かうとき、私たちのたたかいの共感のもとにあるのはまさにその精神です」とこたえました。
二十回党大会に出席したハンガリー労働者党のタマーシュ・モルバ・イデオロギー委員会委員は、十四日午後の不破議長との懇談で、「日本共産党の実践、業績に非常に関心をもっている」と語り、とくに、平和と戦争の問題でのたたかいは大きな意義があると強調。ハンガリー労働者党は困難や問題を抱えており、「成功している他の党から学びたい」とのべ、党代表団を日本に派遣したいとのべました。
不破氏はまた、アジア、アフリカ、イスラム諸国の政権党との外交関係を大きく発展させてきたことを紹介。これにたいしてタマーシュ氏は「東欧諸国にも来てほしい」と話しました。
ドイツ共産党(DKP)のデトレフ・フリッケ幹部会委員との懇談では、「生産手段の社会化」の問題や職場での党活動などが話題になりました。
「生産手段の社会化」について不破氏は、「マルクスは大きな方向づけはしたが、決定的なことは将来に残した」とのべ、「これからの世界で、多様なことが試され、発展していくテーマだと思う」とのべました。
デトレフ氏は、ドイツでは労組や企業評議会(労働者も参加)が一定の影響力をもち、党活動の基盤になっていることを紹介した上で、日本の職場での党活動について質問。不破議長は、日本の大企業の多くでは、労組が経営側と一体になっており、日本共産党員というだけで差別、抑圧されており、職場の党支部が労働者の要求をとりあげる活動を通じて、影響力を拡大していることを説明しました。
不破氏はベトナム共産党のファン・ジエン政治局員・常務書記局員らと懇談。ファン氏は、綱領改定案と大会決議案の報告について、「党の活動、歴史の経過が簡潔にまとめられた立派な文献だ」「代議員の発言を聞き、皆さんの団結が固いことを感じた」と語りました。
さらにファン氏は、「発達した資本主義国で社会主義への道を探求している日本共産党の取り組みに関心をいだいている」と発言。「綱領案を実現するには、国民大多数の支持、支援、協力を受けなければならないという不破議長の指摘に刺激を受けた。日本共産党の革命事業の成果は、ベトナムにとって大きな励みとなる」と語りました。
不破議長は、「アジアでの社会主義を目指す流れは、その比重を大きくし、世界情勢に影響を及ぼすものとなる」と指摘。ベトナムのドイモイ(刷新)に触れ、経済面でも成功しつつあることに「とても喜んでいます」とのべました。
志位和夫委員長は十四日、インド共産党(マルクス主義)、ラオス人民革命党、メキシコ民主革命党の来賓と懇談しました。
志位委員長とインド共産党(マルクス主義)のビマン・ボース政治局員(西ベンガル左翼戦線委員会議長)は、一昨年十二月のコルカタ訪問で懇談して以来の再会を喜びあった後、ビマン氏は、党大会で若い代議員が自分の経験を生き生きと話していること、各界各層の草の根のとりくみが話されることについて、「このような大会は初めてだ」と驚き、感動を語りました。
志位氏は、インド訪問時に温かいもてなしを受けたことに感謝を表明。「(西ベンガル左翼政権が)貧しい子どもたちの教育、福祉の面で、住民の深い信頼を受けていることに感動した。住民の利益のため、命がけで献身する姿は、大いに学ぶところがあります」「みなさん方の事業の前進を心から願っています」とのべました。
志位委員長と懇談したラオス人民革命党のスックタボン・ケオラ駐日大使は、まず大会への招待に感謝を表明しました。また、「大会決議案、綱領改定案ともに慎重に読んだ。日本の現実を反映した内容だ。実現にはたいへんな取り組みが必要だと思うが、あなた方は一歩一歩前進されるだろう」と語りました。二〇〇六年に予定されている同党の大会に触れ、すでに準備が開始されているが「あなた方の経験を学びたい」と述べました。
志位委員長は、「両党関係の前進を願っています。大会についても、注目、分析したい」とこたえました。
スックタボン大使は、今は、さまざまな機会に相互の訪問や懇談を通じて両党間の関係を発展させたいとの希望を表明し、志位委員長もいっそう意見交換を強めたいと応じました。
志位委員長はメキシコ民主革命党のフアン・ホセ・ガルシア・オチョア全国評議委員、党下院議員団国際関係調整者とパブロ・フランコ・エルナンデス下院議員と懇談。オチョア氏は、国内で大きな影響力をもっている民主革命党の現状や、アメリカへの態度などについて説明しました。
オチョア氏は同国内の五つの州、三百五十の市で同党が政権をにない、人口一億人中、二千三百万人が暮らしていることを紹介。アメリカに対してもイラク戦争反対の態度を貫いています。日本共産党の綱領のように、「私たちも国民とともに進むという民主主義を目指しています」とのべました。
これにたいし志位委員長はラテンアメリカで起きている変化に注目していると話し、さらに交流を進めていくことを希望しました。
市田忠義書記局長は十四日、イタリアの共産主義再建党のブルノ・ステリ全国政治委員会委員と懇談しました。ステリ氏は、党大会での二つの報告と代議員の発言を聞き、「今日の特性ある世界情勢に、日本共産党がどう立ち向かおうとしているのか関心を持った」と語りました。
市田書記局長は、綱領改定について、「国民にわかりやすいものにするとともに、この四十三年間の日本共産党の理論的、政策的展開を盛り込んだもの」と説明しました。ステリ氏は、戦争を紛争解決の手段として禁じたイタリア憲法第一一条に対する支配層の攻撃、米国への傾斜を強めるベルルスコーニ内閣の動きを紹介し、日本とイタリア両国のたたかいの共通性を指摘しました。
上田耕一郎副委員長は十四日、キューバ共産党のオスカル・マルティネス・コルドベス国際部副部長と懇談しました。マルティネス氏は「若い代議員が話しているのを聞き、エネルギーを感じる。今後、数年の間に日本共産党は影響力を強めるだろう」とのべました。
上田副委員長は、一昨年のキューバ訪問の印象を語りつつ、帰国後『前衛』に掲載したインタビュー記事に読者から多くの反響が寄せられ、キューバへの関心の大きさを感じたと話しました。
マルティネス氏は、今年の米国大統領選挙でキューバへの敵視政策がいっそう強まると指摘。上田氏は、キューバ国民が革命で独立をかちとったことを米国が認めず、経済封鎖を続けるのは、帝国主義的政策で許されないとのべました。
また、この機会にマルティネス氏は日本共産党指導部にたいし、キューバ訪問を招待しました。