日本共産党

2004年1月14日(水)「しんぶん赤旗」

主張

育児休業見直し

だれもがとれる実効性を


 厚生労働省の労働政策審議会が、有期雇用への適用、休業期間の延長などを盛り込んだ育児介護休業法の見直し案をまとめ、通常国会に改正法案が提出される予定です。

パートも適用されるが

 仕事と子育ての両立を願う切実な声と運動をうけて育児休業制度ができて十二年。取得率は男性がわずか0・33%、女性は常勤者で約六割ですが、育休をとる前に妊娠・出産を機に退職する人も少なくありません。だれもが利用できるよう制度の改善が急がれてきました。

 見直し案は一定の前進があるものの「本当に取得が広がるのか」「実効に疑問」の声があがっています。

 主な見直しは、現行法では原則的に適用されない有期雇用への適用拡大、育児休業期間の延長をやむをえない場合に限って認めること、子どもの看護休暇の制度化です。

 休業期間の延長は六万人もの保育所待機児があるなか、育休あけに保育所に入所できない深刻な事態が背景にあります。現行は子どもが一歳になるまでですが、保育所入所が可能となるまで「一年以内の延長を」という要求は切実です。しかし見直し案は期間の延長を六カ月以内にとどめる方向です。子どもの看護休暇は、小学校就学前の子をもつ労働者一人につき年五日、申し出によって取得できるようにしています。

 一方、休業中の所得保障の増額や育児休業の分割、短時間勤務の制度化など、盛り込まれなかった切実な課題も多く残されました。

 パートや派遣など有期雇用労働者への適用では、審議過程で使用者側と労働者側で意見の大きな対立がありました。

 財界・使用者側は有期雇用への適用に基本的に反対、できるだけ適用範囲を狭めたい思惑があります。ひろく適用を求める労働者側の意見を押し切って、見直し案も複雑できびしい適用条件をもうけています。

 子どもが二歳になるまで雇用継続の可能性があることが必要とされ、三カ月、六カ月など短期更新を繰り返す場合は除外されます。有期雇用は上限が三年に改悪されましたが、三年契約でも更新の可能性がなければ対象外です。

 財界は人件費削減を目的として正規雇用から派遣・パートへ置きかえをすすめ、女性や若い世代で不安定雇用が急増しています。今や女性労働者の過半数がパートや派遣で、臨時・日雇いも二割を超えます。雇用形態にかかわらず、だれでも取得できるようにすべきです。

 日本共産党は六カ月以上勤務している労働者すべてを対象とし、所得保障六割、不利益扱い禁止の強化、原職復帰、中小企業への支援強化、十日以上の家族休暇制度などを提案しています。国会でも繰り返しとりあげ、有期雇用への適用を迫って検討を約束する答弁を引き出すなど制度の改善に力をつくしてきました。

働き方の改善も必要

 長時間労働の忙しい職場ではとりたくてもとれないのも実態です。「妊娠を告げて産休・育休の届けを出したいと相談したら『退職届を出して』といわれた」など妊娠・出産による解雇や不利益扱いも横行しています。こうした違法の根絶、労働条件改善、雇用の安定が必要です。

 仕事と子育ての両立支援はILO家族的責任条約を批准している政府の責務です。国連・女性差別撤廃委員会も「両立を可能にするための措置の強化」を勧告しています。

 育児休業制度をより実効あるものへ、抜本的改善は急務です。


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