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2024年9月26日(木)

ストライキ構えた労組に展望

全労連新議長の秋山正臣さんに聞く

「闘えば変わる」実践 賃上げ・労働時間短縮へ共に

 7月の全労連大会で秋山正臣さんが新議長に選出されました。ストライキを構えた賃上げ、労働時間短縮を求める運動の展望を聞きました。(玉田文子)


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(写真)あきやま・まさおみ 1962年大阪府生まれ。81年から尼崎公共職業安定所や兵庫県労働部雇用保険課、神戸公共職業安定所などに33年間勤務。国公労連近畿ブロック会議事務局長などを務め2014年に全労働省労働組合副委員長。16年に国公労連副委員長、22年に全労連副議長となり今年7月から全労連議長

 ―現在の労働者の状況をどう捉えていますか。

 この30年余り、財界や政府が一体で進める賃金抑制や低賃金・不安定雇用の拡大、働き方の規制緩和などによって実質賃金が低下し、過労死するまで働かされています。

 多くの労働者が使用者・経営者の強権的な対応に不満を持つ一方で、ストライキを経験したことのない労働者が圧倒的多数になっています。

諦め吹き飛ばす

 将来への諦めが非常に強くなってきている中で労働組合に結集し、ストライキで闘えば賃金が上がるという展望を示すことが必要でした。全労連は2021年の春闘で改めてストライキ強化を打ち出し、22年の定期大会で「たたかう労働組合のバージョンアップ」を掲げました。

 今春闘では196組合がストに入り、20年以上ぶりの賃上げ回答を引き出しました。ストを構えて交渉してきたことが経営者側を動かしています。

 ストライキは労働者の権利です。いつでも行使できるということをつかんで離さないことが大事です。

 公務職場でも労組の長年の要求が実り通勤手当の上限が2倍になりました。労組に結集する人が増えれば要求が前に進むので一緒に闘う仲間を増やしていきたい。

 同じ職場で働くもの、同じ労働者としての目線を合わせ、団結して闘えるように「対話と学び合い」を進め、闘う労働組合を大きくしていきたいと考えています。

 ―春闘の流れを反映し、最低賃金もかつてない引き上げ額でした。

 最賃の改善を求める労働者の声と運動の成果です。

 徳島では84円引き上げ、「徳島ショック」と報道されました。背景には賃金が高い地域に労働者が流れていくことを止めたい首長の強い危機感があります。

 全労連は1989年の結成当初から全国一律制確立を求め、2016年の春闘でいち早く「全国一律1500円」を打ち出し世論を広げてきました。

 20年から4年間に国会に提出した署名数は62万人分を超え、自治体決議は851自治体まで増え、地方政治の焦点になりつつあります。地域別最賃の矛盾と破綻は明らかで、全国一律制度に転換する政治判断が求められています。

 ―労働時間短縮も打ち出していますね。

 日本は労働時間に関するILO(国際労働機関)条約を一つも批准せず、欧州に比べて労働時間短縮への取り組みが遅れています。

 前回大会から時短を掲げ、今年の大会でも賃上げと一体に法定労働時間7時間を求める方針を提起しました。日本共産党が新たに「1日7時間、週35時間」法案を提起し、同じ目標を掲げていることを非常にうれしく思っています。一緒に実現に向けた運動をしていきたいです。

 社会の土台となるケア労働を担う公務職場は、人員削減で1人当たりの業務量が増え、長時間労働がまん延しています。公務職場の仕事のあり方を国会で議論すべきです。

健康守り余暇も

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(写真)裏金自民党政治と戦争できる国づくりを終わらせようと声を上げる人たちと秋山議長(左端)=8月19日、衆院第2議員会館前

 労働時間の問題を考えるにあたっては24時間型社会を見直す必要があります。24時間型では多くの労働力が必要になり、細切れ労働、パートタイム労働者が増え、管理するフルタイム労働者も長時間勤務にならざるを得ません。

 「利用者のため」と長時間労働を容認する風潮がありますが、際限なき労働に歯止めをかける必要があります。

 仕事によって命を落とすことなどもってのほかです。時短は、命と健康を守るだけでなく、社会活動や余暇などを楽しむ人生をつくることです。

 長時間働くことは、他の労働者の仕事を奪います。公正な競争が行われるようにするためにも、労働組合が規制力を発揮しなければなりません。成果によって賃金が決まるのではなく、1日7時間・週35時間働けば、生活できる賃金を支払わせることが当然との理解を広げたいと思います。

 男性が家事や育児を担う時間を確保し、ジェンダー平等を実現するうえでも時短が必要です。

 1日8時間労働など労働者保護の最低基準の規制緩和を狙う財界と政府の動きを許さず、賃下げなしの時短を職場から進める労組の運動の重要性を訴えていきたいと思います。

 ―「小指の痛みを全身で」を胸に活動されてきたそうですね。

 兵庫県のハローワークで働いていた時に聞いた全労働省労働組合の先輩の言葉です。現場で苦労している組合員一人ひとりの声を聞いて全体で確認して闘っていくという意味です。

 阪神・淡路大震災の時は、被災者生活再建支援法をつくろうと労組の立場で復興県民会議に参加し、運動を支えました。社会を変えるには労組だけではなく地域にも呼びかけて大きな世論にしていく必要があると痛感しています。

 全労連を社会的にも大きなものにしていくために、みなさんと手を携えあって進んでいく決意です。


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