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2023年12月5日(火)

NTT グループ企業使い 自民側に献金1.5億

国から多額の事業受注

 自民党の政治資金団体「国民政治協会(国政協)」に、NTTグループ企業の少なくとも3社が、2022年までの10年間に合計1億5100万円の献金をしていたことが4日、政治資金収支報告書から分かりました。NTTは政治資金規正法が献金を禁じる、国が出資している法人にあたります。グループ企業を使っての献金は法の抜け穴を使った手法であり、道義的な責任が問われます。(嘉藤敬佑)


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(写真)NTT本社が入居するビル(右)=2日、東京都千代田区

 NTTは1985年に日本電信電話公社の民営化で誕生。政府と地方公共団体が株式の32・29%を保有しており、公共性が極めて高い企業です。このため同社は「コンプライアンス」で、「政治資金規正法に則(のっと)り、政治献金は行っていません」としています。

19年に金額増加

 ところが本紙の調べでは、NTTデータ、NTTドコモ、NTT都市開発の少なくともグループ3社が、自民党が政権復帰した翌年13~22年までの10年間で、計1億5100万円を国政協に献金していました。

 内訳は▽データが4700万円▽ドコモが8600万円▽都市開発は1800万円―となっています。突然、19年に合計献金額が増えています(表参照)。

 問題はNTTやグループ企業が国から多額の事業を受注していることです。

 データは、国と地方公共団体が共同で管理し、マイナンバーカード関連システムなどの開発・運用を担う「地方公共団体情報システム機構」(J―LIS)から、10年間で推計257億円の関連事業を受注しています。同社の営業利益は、20年度1392億円、21年度2126億円、22年度2591億円と大幅に伸びています。

政策への影響は

 NTTは国策の影響を大きくうける企業でもあり、与党側への巨額献金は政策になんらかの影響を与える疑いがあります。民営化した85年から90年代にかけてデータ、ドコモを分離。当時の国策は分割路線でした。それが19年に都市開発を事実上の子会社とし、20年にドコモを完全子会社化するなど、NTTとグループ企業の一体化は深まっています。

 NTTの「統合報告書2023」によると、22年度にドコモの利益がグループ全体の59・2%を占めている状態に。データはグループ利益の14・4%を占めていました。

 この間NTTグループが国政協への献金を増やしてきました。その一方で、NTTとグループの一体化を進め、巨額の収益をあげてきた形です。

 献金の目的は何か―。NTTは本紙の取材に、「各社の判断で実施しているものと認識」と回答。グループ企業の献金に「当社は関与しておらず回答を差し控える」としました。

 他方、データは本紙が9月に質問した際に、「政策本位の政治・議会制民主主義の健全な発展」を目指し、「企業の社会的責任の一端として」献金している、などと回答しています。

 国政協だけに献金することがなぜ議会制民主主義を発展させることになるのか―疑問は深まるばかりです。

NTTグループの各年別国民政治協会への献金(円)
企業名 2013~2018 2019 2020 2021 2022 合計
NTTデータ 各350万 350万 750万 750万 750万 4700万
NTTドコモ 各700万 1200万 1200万 1000万 1000万 8600万
NTT都市開発 各150万 150万 250万 250万 250万 1800万
(合計) 各1200万 1700万 2200万 2000万 2000万 1億5100万

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