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2022年6月30日(木)

「G7は時代遅れ」批判

世界の課題 一握りの首脳議論 市民排除

 【エルマウ=島田峰隆】ドイツ南部エルマウで28日に閉幕した主要7カ国首脳会議(G7サミット)は、市街地から隔絶された山の高級ホテルで開かれました。多額の資金を投入し、一握りの豊かな国の首脳だけで世界の課題を議論するG7首脳会議をめぐっては、「時代遅れ」という批判が出ています。


 首脳会議の会場となったエルマウ城はアルプス山脈の麓にある五つ星の高級ホテルです。

 周辺地域は封鎖され、約1万8000人の警察官が配置されました。会場周辺の上空をヘリコプターがごう音を立てて飛び、“不審者”がいないか監視しました。市民はいっさい近寄れない状況がつくられ、「とりわけ世間から隔絶した会場」(ロイター通信)となりました。

 ドイツメディアによると、今回の首脳会議には少なくとも1億7000万ユーロ(約240億円)が投じられています。

新聞もNGOも

 南ドイツ新聞は、各国国民がロシアによるウクライナ侵略、インフレ、燃料代の高騰などに苦しむ中、G7首脳が厳重に警備された豪華ホテルで会議を行っているとして、「支配者と被支配者の距離」があると指摘。「サミットはもはや時代にそぐわない」と強調しました。

 ドイツの環境NGO「ジャーマン・ウオッチ」の幹部は米紙ニューヨーク・タイムズに対し、「世界の豊かな国の中のさらに一番豊かな国々が自分たちだけで会議を開き、世界経済の方向性を決めるやり方は、今とは異なる世紀の話だ」と批判しました。

 開幕日に会場周辺で行われた市民のデモ行進では「気候危機、物価高、飢餓、戦争などは世界全体の人に影響する。市民の声を聞かずに山にこもって7人で決めるのはおかしい」(55歳の女性)という声が聞かれました。

 首脳会議にはアルゼンチンやインドネシアなど5カ国が招待されて参加しました。独紙フランクフルター・アルゲマイネは「もっとも強力な西側の国々でも彼らだけでは世界の多くの問題に対処するには十分強くない」「外部世界から孤立した排他的クラブになりたくない」という背景があったとしています。

対照的な両会議

 G7首脳会議の直前にオーストリアの首都ウィーンで開かれた核兵器禁止条約第1回締約国会議は、すべての国に門戸を開き、市民社会の代表が政府代表と対等の立場で議論に参加し、知見を交流して成果文書をまとめました。国連の会議と任意の国々による会議という性質の違いはあるものの、二つの会議は全く対照的な姿を示しています。


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