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2022年5月20日(金)

刑法改定案

本村議員の反対討論

衆院本会議

 日本共産党の本村伸子議員が19日の衆院本会議で行った刑法改定案への反対討論(要旨)は次の通りです。


 本法案は、侮辱罪の法定刑に懲役・禁錮を追加する等の厳罰化をするものです。悪質な誹謗(ひぼう)中傷対策として持ち出されたものですが、言論・表現を処罰の対象としながら、具体的にどのような表現が「侮辱」にあたるか審議を通じても、全く明らかになっていません。

 侮辱罪は、1875年に布告された讒謗律(ざんぼうりつ)に由来し、新聞紙条例とともに自由民権運動の弾圧に用いられました。今日においても、北海道警察ヤジ排除事件にみられるように、捜査当局が政治的な表現の自由を侵害しています。地裁判決は警察の行為を違法・違憲と判断しましたが、政府は全く反省していません。

 権力者や政府の政策に対する批判・批評を「侮辱」と認定し、捜査当局が恣意(しい)的な判断をしないと、なぜいえるのでしょうか。

 本法案は、現行犯逮捕や「教唆・ほう助」をした人の処罰を可能としています。

 不起訴になったとしても、現行犯逮捕のインパクトは、自由な言論・表現に対する脅威となり、言論活動の委縮を招くことは明らかです。到底許されるものではありません。

 本法案は、現行の懲役刑と禁錮刑を廃止し、新たに「拘禁刑」を創設します。現行法は、懲役については作業を義務付けていますが、禁錮には作業を義務付けておりません。ところが、本法案は、刑事施設長が自由裁量で、すべての受刑者に対して作業と指導を義務付けます。1907年に制定された刑法典の刑罰体系を根本から変え、厳罰化するという重大な改定です。

 国連が被拘禁者処遇の最低基準を示したネルソン・マンデラ・ルールズ(国連被拘禁者処遇最低基準規則)は、犯罪をした人が社会に再統合されることが必要とし、刑務当局に対して、受刑者に適切かつ利用可能な教育・職業訓練・作業など援助を提供する義務を課しています。

 日本での作業強制に対して、国連・社会権規約委員会は、矯正の手段又は刑としての強制労働を廃止し、関係規定の修正・廃棄を勧告しているのです。

 作業・指導を強制することは、受刑者の社会復帰に効果がないだけではなく、矯正実務にも大きな影響を及ぼします。

 本法案は、国際的な人権保障の流れに逆行するものであり、断じて認められないことを強調し討論を終わります。


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