2022年3月26日(土)
国連総会 特別会合
人道決議140カ国賛成
ウクライナ無差別攻撃を非難
【ワシントン=島田峰隆】国連総会は24日、ロシアのウクライナ侵略に関する緊急特別会合で、ロシア軍による民間人や民間施設への無差別攻撃を非難し、即時停止を求める決議案を圧倒的な賛成多数で採択しました。今月2日のロシア非難決議に続いて、国連憲章違反の軍事侵略を国際社会が結束して糾弾し、ロシアが孤立を深める形となりました。
「ウクライナに対する侵略の人道的結果」と題した決議はフランスとメキシコが主導し、90カ国が共同提案しました。賛成は国連加盟国193カ国の7割を超える140カ国、反対はロシア、ベラルーシ、北朝鮮、シリア、エリトリアの5カ国、棄権は中国やインドなど38カ国でした。日本は賛成しました。
2日とほぼ同じ採決結果になったことについて「世界はウクライナへの侵略を非難し、国際人道法、国際法、国連の諸原則を支持する点で引き続き結束している」(オーストリアの大使)と受け止められています。
決議は、人口密集地への空爆や民間人への攻撃、学校、医療施設、水道・衛生設備などへの攻撃を挙げて「ロシアによる敵対行為が引き起こした悲惨な人道的結果に遺憾を表する」と明記。避難中の民間人の車列への攻撃なども含め「民間人へのいかなる攻撃」も強く非難しました。
ウクライナ国内の原子力発電所への攻撃に懸念を表明。侵略が世界の食料供給やエネルギー確保に与える影響にも懸念を示しました。
決議は、ウクライナからのロシア軍の即時撤退を求めた2日の決議の全面実践を要求。「ロシアによる敵対行為の即時停止を要求する」と表明しました。
また「あらゆる国際人道法違反や人権侵害を非難する」と強調。文民保護を定めたジュネーブ条約や無差別攻撃を禁止したジュネーブ条約第1追加議定書を含めた国際人道法の厳格な尊重を求めました。避難民を保護し、人道支援が確実に届くようにすることなども要求しています。
南アフリカが提案していたロシアを名指ししない別の決議案は、採決反対が多数となり、採決が行われませんでした。