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2022年1月12日(水)

きょうの潮流

 だれに向かって何のために書いているのかわからない“建前記事”を書いているようでは、それこそジャーナリストなどとはおこがましい▼かつて大阪「読売」の名物記者だった故・黒田清さんが『新聞が衰退するとき』に記しています。一貫して社会畑を歩み、戦争反対をかかげ、反権力、反差別の立場で市井の人びとに寄り添う。そんな報道姿勢が政府にすり寄っていく社と合わず、決別していきました▼その大阪「読売」が昨年末、大阪府と包括連携協定を結んだことが批判を浴びています。包括とは全体をひっくるめてまとめること。報道機関と公権力が互いに抱き込んだかたちです▼危険な動きを懸念する声は続々と。大阪ではいま、多くの府民が反対する万博やカジノを日本維新の会が強行しようとしています。監視するメディアの役割をなげすて、政党や行政の広告・宣伝紙になり下がろうというのか▼「新聞は府政や市政をきちんと検証する側にならなければいけない」。黒田さんと人気コラム「窓」を担当していた「読売」OBの大谷昭宏さんが本紙で訴えています。完全に権力と一体化した、一政党と手を組んだといっても、おかしくないと▼日本の新聞は戦後、軍国と一つになって国民を破滅へと導いた反省から再出発しました。それを捨て去ることは、民主主義の衰退にもつながります。敗戦の翌年、読売新聞は「平和日本再建の方途」と題した元日の社説でみずからを戒め、こう呼びかけています。「一切を新たに出発せよ」


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