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2021年2月14日(日)

主張

コロナ改定法施行

強権行使でなく補償こそ必要

 新型コロナウイルス対応の改定特別措置法、改定感染症法が13日施行されました。緊急事態宣言のもとで事業者や国民を罰則で脅して行政の命令に従わせる規定が設けられました。「まん延防止等重点措置」も新設され、緊急事態宣言が出ていない段階でも罰則を科すことが可能となります。その一方、休業や営業時間短縮に応じた事業者への支援拡充はありません。国民の協力によって進めるべき感染症対策に逆行する法律です。

「防止」の名でも私権制限

 改定法は日本共産党や多くの医療・公衆衛生、法曹関係者の反対を押し切って国会で可決、成立させられました。

 改定感染症法では入院措置や疫学調査に応じない人に行政罰として過料を科すことができるようになりました。国会審議の中で政府は、入院拒否によって感染が広がった事実を示すことができず、立法の根拠が崩れていました。

 同法は民間医療機関に対して、厚生労働相や都道府県知事がコロナ患者の受け入れを勧告し、従わない場合に機関名を公表するとしています。医療機関の協力を得るために必要なのはコロナ危機による減収を国の責任で補填(ほてん)することです。制裁で脅して協力を得られるものではありません。

 改定特措法では、緊急事態宣言で営業自粛などの要請に応じない事業者に知事が命令を出し、従わない場合、30万円以下の過料を科します。まん延防止等重点措置では時短営業などの命令に従わない事業者に20万円以下の過料が科されます。

 重点措置は知事が市町村や地域を限定して実施します。緊急事態宣言が出される前や解除後も「防止」の名で罰則を振りかざして私権を制限できる仕組みです。

 どのような事態で発動されるかは政令に委ねられ、政府の裁量次第です。憲法で保障された私権を制限するというのに国会に諮りません。罰則で抑え込むやり方は差別、偏見を助長し、社会を分断させることにしかなりません。

 9日に閣議決定された政令では、重点措置で事業者に要請、命令できる事項は時短営業にとどまらず、従業員に対する検査受診の勧奨、入場者の整理、発熱者の入場禁止、消毒設備の設置など多岐にわたります。すでに多くの事業者が自ら実行している感染対策です。命令や罰則でなく、費用を公費でもつなどして事業者の協力に報いることこそ行政の役割です。

 改定特措法では緊急事態宣言、重点措置のいずれにも営業自粛、時短に対する補償の規定はありません。国、地方自治体が「支援に必要な財政上の措置を講ずる」とあるだけで、支援の規模はまったく不明確です。重点措置に基づく時短営業に対する支援が、ただでさえ不十分な緊急事態宣言の協力金を下回ることは許されません。

世論も罰則を支持せず

 時事通信の2月の世論調査では事業者への罰則について「不要」が49%で、「必要」の32%を上回りました。世論の批判を受けて政府は罰則について「人権に配慮した運用に努めたい」としています。そう言わざるをえないこと自体、改定法による人権侵害の危険性を示しています。強権的な運用を許してはなりません。「罰則ではなく補償を」の声を高める取り組みがいっそう重要です。


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