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2020年9月22日(火)

低迷マイナポイント CM攻勢

広告1カ月 税金27億円

 菅義偉首相が普及を進めるマイナンバーカード。このカードを持つ人へのポイント還元事業「マイナポイント」のコマーシャルがテレビであふれています。総務省は、大手広告代理店の電通がかかわるこの宣伝にわずか1カ月余で広報予算の半分となる約27億円を使ったことが21日、日本共産党の本村伸子衆院議員の調べでわかりました。低迷する事業のテコ入れに巨費をつぎ込むかっこうです。(矢野昌弘)


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(写真)電通の複数の子会社が入居するビルに事務所を置く環境共創イニシアチブ=東京都中央区

 ドラマで渋い刑事役だった俳優が着ぐるみ姿でマイナポイントをコミカルにアピール―。

 こうした総務省のマイナポイントの宣伝は、7月下旬から始まりました。本村議員が総務省から開示をうけた資料によると、テレビCMやウェブ広告、新聞広告費などで8月末までに26億7000万円を支出する見込みです。

 総務省が「マイナンバーカードの普及」「キャッシュレス決済の普及」を名目に今月から始めたマイナポイントは、利用者に最大で5000円分のポイントを還元するものです。

 マイナポイントは来年3月末で終わる7カ月間の期間事業です。

 総務省は4000万人の申し込みを目標に広報費に53億8000万円を計上しています。

 すでに、広報費の半分をつぎこんだCM攻勢とは裏腹に申し込みは目標の1割余の432万人(2日時点)と伸び悩んでいます。マイナンバーカードも政府想定では4000万枚を7月末までに交付するはずが、約2865万枚(同)にとどまります。これでは広告費が足りなくなるのは明白です。

 総務省の説明を受けた本村議員は「目標達成まで不要不急の広告に税金をつぎ込み続けるのか」と質問。同省の担当者は「申込者は増加傾向にあるので、広報予算が足らなくならないようしていく」と、具体的な回答は避けました。

 マイナポイントをめぐっては、電通が深く関与しています。この事務局業務を担うのは、電通と関係が深い「一般社団法人環境共創イニシアチブ」でした。

 総務省は昨年12月にこの業務の公募をしました。同省によると、13事業者から問い合わせがありましたが、実際に応募したのは同法人のみ。同法人が無競争で選ばれていました。

 同法人には、総務省から約350億円の補助金が渡されました。そのうち100億円がマイナポイント事業に参加するキャッシュレス決済業者への事務経費補助金に。あとの約250億円は同法人が約4億円を使い、残りは委託先の4社に流れました。

 その中で、最も多額の139億7000万円分の業務を委託されたのは電通です。流れているCMも、この中から電通に委託されたものです。

 さらに電通は4社に再委託していました。そのうちの2社に電通ライブと電通国際情報サービスの子会社が入っており、両社合わせて約82億円を再委託されていました。電通ライブの約63億5000万円のうち約56億8000万円はさらに5社に再々委託していました。

契約情報は全て開示を

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(写真)本村伸子議員

 本村伸子衆院議員(衆院総務委員)の話 マイナポイントの申し込みが低調な背景には、マイナンバーカードそのものへの国民的理解が得られていない問題があります。

 「行政の効率化」の名のもとにカード普及のねらいもあってポイント付与に2000億円など巨額の税金が使われます。所有を義務付けられていないマイナンバーカードを持っていれば得をするかのように、普及にこれだけの税金をつぎ込むやり方はおかしいです。

 入札・契約情報をすべて開示し、検証することが必要です。


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