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2020年6月7日(日)

改定社会福祉法等 参院本会議

倉林議員の反対討論(要旨)

 日本共産党の倉林明子議員が5日の参院本会議で行った改定社会福祉法等に対する反対討論(要旨)は以下の通りです。


 新型コロナウイルス感染拡大のなか、介護・障害・保育など福祉事業は社会に不可欠の存在であることが明らかになると同時に、現場の強い責任感でどうにか維持されている地域の福祉基盤の脆弱(ぜいじゃく)さが露呈しました。政府は「助け合い」を求めるのではなく、危機にあっても生存権を保障しうるセーフティーネットを強化し、福祉事業が安定して維持できる対策をとるべきです。

 事業所、職員、利用者、家族は、コロナ対応に追われ疲弊しています。当事者・関係者が十分に議論に参加できないまま、本法案を成立させることがあってはなりません。

 本法案は、地域福祉推進の主体に地域住民等を位置づけ、複雑化した課題の解決を求めています。国・地方自治体の役割は、「共助の場」の創設や連携強化などにとどまっています。地域福祉の理念をゆがめ、公的責任のさらなる後退につながります。

 包括的な支援体制は、必要性はあるものの、民間丸投げ、財政的・人的に十分な裏付けがないままでは実効性が確保できません。制度から「漏れる」人を無くすため専門職の公務員による「出かける福祉」を実現した韓国ソウル市とあまりに対照的です。

 8050問題やダブル介護などの問題は、社会保障制度の後退と担い手である公務員の削減で、制度から遠ざけられた結果です。複雑な課題を抱えた人たちが、地域で尊厳をもって生きるためには、まず公的支援が保障されることが不可欠です。その上で住民の主体的な活動があるべきです。

 社会福祉連携推進法人は、社会福祉法人同士の資金融通や人材確保の協働化をすすめ、効率化、大規模化に向けて、中小法人の合併や事業譲渡へ道をつけるものです。効率化のみが追求され、大規模法人を基本とした報酬や支援制度に変えられれば、小規模法人の経営は成り立たなくなります。支援の多様性は失われ、個別性の強い支援を必要とする人々の生活は守れません。規模に関わりなく安定した経営が可能な報酬体系、財政的保障を確立するべきです。

 介護福祉士養成施設卒業者の国家試験に係る経過措置の延長は、介護職全体の労働条件を低水準に固定化することになりかねません。専門性を正当に評価し、賃金水準、職員配置、人員基準を抜本的に引き上げるべきです。


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