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2020年5月30日(土)

社会福祉法等改定案への倉林議員の質問

参院本会議

 日本共産党の倉林明子議員が29日の参院本会議で行った社会福祉法等改定案に対する質問(要旨)は以下の通りです。


 障害福祉・介護、保育などの事業が、崩壊の危機にひんしています。低賃金と厳しい労働環境が放置され、余裕のない現場のうえに、コロナ禍が追い打ちをかけています。

 介護・障害福祉事業所には昨年度実績に見合う収入補てんを早急に行うべきです。高い感染リスクの中、極めて困難な支援を続けるすべての福祉従事者にふさわしい処遇が必要です。「特別手当」の引き上げを求めます。

 コロナ禍のもと、高齢者と家族の生活は激変しています。こんな時に、介護保険では来年8月から低所得の施設利用者の食費・居住費の負担増、医療では75歳以上の高齢者の医療費窓口2割負担はもってのほかです。

 家族や地域社会が変化する中、社会的孤立などの問題が生じ、縦割りの現行制度では対応できないと説明されていますが、縦割りだけが問題でしょうか。社会保障・福祉制度の縮小と公務員削減で必要な制度、支援が届かず、自己責任論や生活保護等へのスティグマ(偏見)が強化され、「助け」を求める声が出せなくなった結果です。

 住民の助け合いに任せるのではなく、各制度とそれを担う職員を量質ともに充実させ、適格な連携を強化することが不可欠です。

 包括的支援体制として、「断らない相談支援」「地域づくり支援」「参加支援」が制度化されます。事業に必要な交付金が確保できなくなるのではないかと懸念の声が出ています。拡充される事業への財政措置、人員配置基準、資格要件も明確に示すべきです。

 新設される社会福祉連携推進法人は、資金融通や人材確保などの「協働化」を可能とするもので、9割をしめる中小法人の合併や事業譲渡への地ならしではありませんか。総会の議決権は定款にゆだねられていますが、大規模法人等が多数を占め、運営を主導することも可能になるのではありませんか。

 介護・障害福祉等の事業所が、規模にかかわりなく、利用者、家族の生存権を保障し得る報酬、財政的保障を確立することこそ、今求められています。

 介護福祉士養成施設卒業者への国家試験義務付けにかかわる経過措置の5年延期は、介護福祉士の専門性、地位向上をめざした制度を形骸化するものです。

 人手不足が介護基盤の維持を脅かすまでになった最大の要因は、著しく低い賃金水準と実情にあわない職員配置、人員基準による厳しい労働環境です。今やるべきはこれらの抜本的な引き上げです。


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