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2020年4月26日(日)

PCR検査拡大は急務

予算ゼロ見直せ

 新型コロナウイルスの感染拡大・医療崩壊を食い止めるため、感染の有無を調べるPCR検査の拡大が急務となっています。

高い陽性率

グラフ

(写真)東京都のPCR検査実施の件数のグラフ(24日、東京都コロナ対策のサイトより)

 日本では諸外国と比べて検査数が少なすぎると指摘され、疑問の声が上がっています。4月に入り検査件数は全体として増加傾向ですが、安倍晋三首相が「1日2万件」を目指すというのに対し、24日の実施件数は5259件(厚生労働省)にとどまり、感染爆発の危険がもっとも懸念される東京都では、23日の実施件数は630件だけです。

 IPS細胞発見者の山中伸弥京大教授は「検査数が増えないと、感染者の増加を見逃す危険がある」と警告します。

 専門家らが懸念を示すのが、検査件数に対する陽性率の高さです。東京では、陽性率が2~3月には1桁台でしたが、4月に入り20%前後まで上昇。これがもし実態なら、都内の感染者は数十万人となります。1日の感染確認者数が若干減少しても、山中教授は「真の姿をとらえる必要がある」と強調しています。

 さらに、これまで厚労省が「重症者の発見」の姿勢で、発熱や肺炎症状がある人に絞って検査しており、検査結果が軽症感染者の拡大を反映しているのかも問題です。

 世界保健機関(WHO)事務局上級顧問の渋谷健司医師は、「実際の感染者は確認・発表されている数の10倍」だと警告。政府専門家会議の西浦博北海道大教授も24日、渋谷氏の発言に触れて「現在の患者数は氷山の一角」「少なくとも10倍以上」だと発言しました。

 24日時点の国内の感染確認者の累計は1万2864人。10倍だとすると約13万人が感染し、10万人以上が確認されず放置されていることになります。

 感染の実態を正確に把握することは対策の根本問題であり、改めて急を要します。

軽症者放置

写真

(写真)新型コロナウイルスのPCR検査室を視察し説明を受ける小池晃書記局長(右から2人目)ら、日本共産党の調査団=18日、東京都板橋区

 新型コロナウイルスは、感染しても軽症や無症状の人が8割、また感染者のうち他人に感染させる可能性のある人が5分の1程度という特徴があり、無症状者も他人に感染させる可能性があると言われています。

 感染の実態を広く把握し、重症者は病院に、軽症者はホテルや公的施設に保護、隔離して封じ込めていくことが必要です。国際的にも、「検査と隔離が基本」だと言われています。

 政府が、他人に感染させる可能性のある軽症者、無症状者を保護せず放置してたことに大きな問題があります。いまこそPCR大量検査へと考え方を転換するときです。

体制つくれ

 日本共産党は、PCR検査拡大のため、病院のほかに検査センターを設置し、電話やオンライン診療でかかりつけ医が必要と判断すれば検査するよう提案しています。安倍首相も17日の会見で、検査センターの設置と、かかりつけ医の判断で同センターでの検査を可能とする体制への転換を言わざるを得なくなりました。

 重要なことは、検査センターに医師、看護師、技術者を集め、感染防護具など必要な資材を早急に準備することです。医療現場では、防護服やマスクさえ決定的に不足しており、従事者はマスクを洗って使い回し、ゴミ袋を加工した「防護服」で検査を行うなど、過酷な状況が続いています。

 現状打開には、政治の強いリーダーシップと思い切った財政投入が必要です。都内の例ではPCR検査センター1カ所あたり月5000万円の委託費が必要で、全国では数百億円規模となる計算です。

 ところが政府の補正予算案では、驚くべきことにPCR検査体制の強化に1円もつけられていません。首相がやると言った以上、さらなる予算の組み替えで、十分な予算を計上すべきです。

 (中祖寅一)


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