2004年1月11日(日)「しんぶん赤旗」
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高額な医療費がかかる不妊治療の経済的負担の軽減のため、厚生労働省は来年度予算案に、費用の一部を助成する新しい制度を盛り込みました。
新制度は、不妊治療のうちとくに高額な、体外受精や顕微受精(別項)による治療を受ける夫妻にたいし、年一回、約十万円を助成(通算二年まで)します。夫妻合算の所得ベースで六百五十万円までが対象です。
四月からの実施予定。実施主体は、都道府県、政令指定都市、中核市とし、国と自治体が二分の一ずつ費用を負担します。このための国庫負担分として来年度予算案には、二十五億四千万円が計上されています。
近年、不妊に悩む夫妻は増加し、十組に一組ともいわれています。医療保険が適用されない不妊治療は自己負担が高額で、厚労省によれば、体外受精は一般に約三十万円、顕微受精は約四十万−五十万円かかるといいます。実際に子どもが生まれるまで治療を重ね、治療費が数百万円にのぼる場合もあり、健康保険の適用と助成制度の実現を求める声は切実になっていました。
日本共産党の井上美代参院議員は国会質問で、「不妊患者の経済的負担を軽減する助成制度をつくるべきだ」と要求(二〇〇三年五月二十七日の厚生労働委員会)。これにたいして坂口力厚労相は「対応できるようになると思う」と答弁していました。
体外受精 卵子と精子をとりだして受精させ、後に体内に戻す方法。 顕微受精 卵子のなかに精子を直接注入して受精させる方法で、顕微鏡を見ながらおこなう。 |