日本共産党

2004年1月6日(火)「しんぶん赤旗」

定昇廃止 裁量労働 導入に批判

“頼りは共産党”

「さあ参院選。暮らし守る年に」新春宣伝にうなずく姿

三菱電機 伊丹工場


 「ことしは参院選の年。日本共産党とともに労働者の暮らしを守りましょう」――兵庫県伊丹市と尼崎市にひろがる三菱電機の工場門前にマイクの音が響きます。日本共産党三菱電機伊丹委員会は五日、初出勤する労働者に職場新聞「羅針盤」の新年号外を配り、早朝宣伝をおこないました。大沢たつみ参院議員(参院選挙区候補)、党伊丹市議団もかけつけました。すぐ隣では、電機連合の推す民主党候補陣営も宣伝。ビラをまく手に力が入ります。

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初出勤の労働者に宣伝する三菱電機伊丹党委員会のメンバーら。マイクで訴えるのは大沢参院議員=5日、兵庫県伊丹市

 「会社の賃下げ攻撃をはねかえそう」という党委員会の訴えに、自転車から手を伸ばしビラを受け取る人やうなずく人の姿が目立ちます。

財界主張通り

 いま三菱電機では、定期昇給も生計手当も廃止し、成果主義賃金制度と技術・事務部門に裁量労働制を導入することを会社が労働組合に提案し、四月にも新制度への移行を狙っています。日本経団連は定昇制度の廃止やベースダウン、「降格もあり得る制度の検討が必要」と主張していますが、三菱電機では財界の主張どおりのことがまかり通ろうとしています。

 現行では、三十五歳の標準的労働者の場合、配偶者と子ども二人がいるとすれば、生計手当が三万七千円つきますが、それでも賃金は三十万円弱(党委員会試算)。その生計手当を廃止し、毎年一律三千円が累積されていく定期昇給もなくしていこうというのが会社提案です。その一方、「業績・成果次第で昇給も降給もありうる」と成果主義賃金で労働者を競争に駆り立て、裁量労働制でサービス残業(ただ働き)を合法化しようとしています。

 職場では、「賃金の査定幅が広がることはわかるが最低賃金はいくらなのか」「絶対評価か、相対評価か、個人の仕事量で賃金は下がったのか、他の相対評価で下がったのか。評価の公平性はどうやってわかるのか」など、疑問や怒りの声がわきおこっています。労働組合が開催する制度改定案の説明会でも「裁量労働制になれば、長時間労働がまかり通ることになる」と批判意見が噴出。三菱電機労働組合の中央委員会では「適切な評価が難しい…上長が本当に全員を評価できるのか」などの疑問の声がだされています。

1軒1軒訪ね

 党委員会は、定昇廃止や勤務制度の改悪は労働協約・労働契約にかかわるので本人同意なしにはできないと訴えています。賃金制度は、基本給部分で生計費を満たし、それに加えて、仕事の専門性や熟練度を正当に評価する賃金制度にし、評価基準は単純明りょうで客観的なものにすべきだと提案。評価、査定の内容を開示させ、不満のときは苦情を申し立てる権利の保障を確立しようと呼びかけています。そして、いまこそ労働組合の存在意義が問われていると訴えています。

 いま職場の労働者有志でつくる「春闘を前進させる会」が、〇四年春闘にむけ、アンケート活動にとりくんでいる真っ最中です。社宅などを一軒一軒訪問。後日、回収にまわると、「留守にするから」とドアにアンケート用紙が張ってあったり、追いかけてきて用紙を渡してくれる人など大きな反響があります。

 「成果主義一本では将来が不安。結婚できない。子どももつくれない。一生初任給のままの人が出るかも」「高い組合費を組合員は払っているのだから、その分、(労働組合は)数字に表してほしい。会社も業績がいいときは、悪くなったときのことを考えてと上げてくれないのだから、悪いときはそれなりの保障をするべきだ」――アンケートに寄せられた社員たちの声です。パートや派遣社員も「仕事は社員と同等。ボーナスは十五年勤務で手取り十万円。もっと平等に」と声を寄せています。

管理職も感謝

 長時間労働の横行や賃金破壊攻撃に日本共産党への期待も高まっています。「サービス残業を大きく是正させた日本共産党に感謝しています」と、ある管理職はいいます。三菱電機伊丹では一昨年、労基署への告発運動のなかで七千万円のサービス残業代が支払われました。この管理職は「いまでもビラはすみからすみまで読ませてもらってます」といいます。「月の残業時間は百時間を超え、休日も一、二日しかとれない」という社員は、「このままでは家庭崩壊。共産党の方々は私たちのブレーン。頼りにしています」。職場の労組役員は、「このままでは職場はだめになる。私も執行委員会に申し入れしているが、せめて労働組合は、長時間労働を規制するくらいのことはしてほしい」とのべています。

 一方、電機連合の推す候補者(三菱電機労連公認)は昨年秋の衆院選時からフル活動。「国政という場にIT・電機業界に精通した人材を、この当社から送り出すことは極めて意義深い」(野間口有社長)と会社側も檄(げき)を飛ばし、労使一体で選挙戦をすすめています。

 ある社員が党委員会のメンバーに語りかけてきました。「実は総選挙にいかなかったんです。一票くらい大勢に影響しないと思って…。でも悔いが残ります。外から文句ばっかりいっていてもだめですね。これからは共産党に協力しますよ。自民と民主による二大政党制では、世の中変な方向に行きそうですから」


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