2004年1月4日(日)「しんぶん赤旗」
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「必ずもうかる」などと強引な勧誘で被害が急増している商品先物業界の政治団体が、自民党の“族議員”を中心に三年間でパーティー券購入をふくめて約一億三千七百万円もの政治献金を支出していたことが本紙の調べでわかりました。
本紙が調べたのは、商品先物業界の七つの政治団体が提出した二〇〇〇年から〇二年の三年間の政治資金収支報告書。
献金を受けた国会議員は現・元職を合わせて四十五人。うち自民党が四十人で、同党の各派閥にも献金が渡っています。
民主党は五人。「民主党財務局」あての献金八十万円もあります。
献金額の上位には商品先物取引業界を管轄する経済産業省、農林水産省の大臣経験者や両省官僚出身者など、自民党の商工、農林族がずらりと名を連ねています。
一位は元通産相の与謝野馨(二千九百八十万円)、二位は元通産、農水相の武藤嘉文(千七百八十万円)、三位は旧通産省出身で自民党商工部会長の経験もある小林興起前財務副大臣(千三百六十万円)の各衆院議員。小林氏は経済産業省への虚偽報告容疑で十一月、東京地検特捜部に告発された大手先物業者・東京ゼネラル(福岡市)からも献金を受けたことが明るみに出ています。
さらに安倍晋三幹事長(百十万円)や石原伸晃国交相(四十万円)、谷垣禎一財務相(二十万円)など、小泉政権幹部も含まれています。
石油、農産物、貴金属などを商品とした先物取引をめぐる国民生活センターへの相談は〇二年度で七千五百件を超え、五年間で二倍以上に増えています。営業マンが先物取引の知識のない素人を甘い言葉で勧誘するなど、強引な手口で大切な老後資金を失った被害者からの悲痛な訴えが本紙にも寄せられています。
商品先物業界はこの間、一般投資家をさらに勧誘しやすくする方策を画策。被害者拡大につながる恐れのある「規制緩和」や税制優遇を国や自民党に働きかけ、次々と実現させています。
先物取引被害全国研究会代表幹事の津谷裕貴弁護士
先物取引は、極めて投機性が高く危険であり、一般委託者(大衆投資家)には不向きです。欧米では、大衆参加はほとんどまれです。ところが日本は九割以上が大衆投資家といわれており、被害が広がる一方です。私たちは、国や業界にたいして問題点を二十年来、指摘してきましたが改善されず、むしろ逆行しています。その商品先物業界から多額の献金を受けている政治家が多数いるとのことですが、やはりそうかという感が否めません。