2003年12月28日(日)「しんぶん赤旗」
北海道で十一月に発覚した北海道警察の捜査用「報償費」の不正流用疑惑−−。十分な説明もせず、「不正はない」と答弁を繰り返し、幕引きをはかろうとする道警。疑惑解明にとりくもうとしない高橋はるみ知事。道民の疑惑への怒りと徹底解明を求める声はますます広がっています。
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「疑惑は絶対に見逃せない。あなた方は道民を何だと思っているのか? 道民に対する説明責任はどうなっているのか? この経済情勢の中、苦しくても一生懸命働き生活している道民がばかをみる結果だけにはしないでほしい」
道庁と道警にはこうした怒りと疑惑解明を求める電話や電子メール、ファクスが続々送られています。
警察の“機密費”である捜査用報償費は、「情報提供者、協力者にたいする諸経費」(道警の資料)です。一九九八年度から二〇〇二年度にかけて毎年約一億二千万円から一億三千万円計上し、〇〇年度までは99・97%などほぼ使い切っています。税金であるにもかかわらず、使途は秘密とされています。
地元新聞社が十一日から三日間設置した「ホットライン」には五百十六件の意見が寄せられました。
国民大運動実行委員会など四団体が十六日に札幌市で開いた「道警疑惑をただす緊急市民集会」には百人が参加し、マスコミも注目。参加者から疑惑に対する怒りの声が相次ぎ、疑惑の真相究明を求める集会アピールを採択しました。
十二日には札幌弁護士会の弁護士二十四人が住民監査請求を行い、苫小牧や釧路市議会など各地方議会でも疑惑の解明を求める意見書が次々と採択されています。
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日本共産党道議団は十一月、内部告発の手紙と道警の内部文書(コピー)を入手。文書は旭川中央署の一九九五年五月分の「報償費証拠書」と九七年九月分の「報償費現金出納簿」で、いずれも「報償費」の支払いを示すものでした。文書には、請求した署員の氏名のほか、捜査協力者名や月日、支払額が記され、当時の署長印も押されていました。両月で協力者三十六人に計約五十二万円を支払っていることになっていました。
文書には「窃盗事件捜査費20000円」「情報提供謝礼20000円」などと書かれ、受取人の領収書も添付されているのに、なかには架空の住所だったり、受領したとされる日付の六年も前に死亡していた人もいました。
日本共産党道議団は報償費疑惑について道議会で徹底追及しました。
花岡ユリ子議員は、内部文書の拡大コピーを示して追及(三日)。芦刈勝治道警本部長はまるでいやなものは見たくもないというように目をそむけ、資料の受け取りすら拒否したため、マスコミから「『不正はない』と逃げの一手の道警本部長」などと批判される始末です。
大橋晃議員は予算特別委員会で追及(五日)。内部文書に押された旭川中央署の舞良昭宏署長(当時)の印と、道警が公開した九八年度の報償費の決算書の同署長の印が一致することを示し、内部文書の前渡金の額(二十四万円と二十九万円)と道の支出額も一致するということを高橋知事に認めさせるなど、告発資料が動かぬ証拠になりました。
芦刈道警本部長は「(内部文書は)出所が不明」「不正経理の事実はない」と繰り返し、調査を拒否。高橋知事も「道警本部長の答弁を重く受け止めている」の一点張り。道民の願いに背を向けました。
道議会の自民、公明はまったく質問せず、民主党も道民の強い批判に押され最終盤ようやく質問した程度です。
「道議会で道警疑惑を徹底して取り上げたのは、共産党のみ。他の党のあまりの及び腰ぶりに憤りを覚える道民もいた」(北海道新聞十四日付)と日本共産党の追及にマスコミも注目しました。
「報償費問題ではさすが共産党だなと思いました。内部告発は信頼されないところには出さないのです。もっと追及してほしい」「私たち道民の意思を代表するのは共産党だけと感じました。頑張ってください」。日本共産党道議団には、期待と激励の電話やメールなどが続々と寄せられています。
すでに二〇〇一年に党道議団は道政史上初めて「捜査報償費」が約一億二千万円もあり、しかもほぼ使い切っていることを明らかにさせ、「捜査報償費」を道出納局の検査の対象とさせました。その後、予算の執行率は減っています。
党道議団の大橋団長はいいます。
「道警の態度は、自浄能力をまったく放棄しているもの。怒りが広がっているのは単に『不正を許さない』というだけではありません。財政再建を理由に、各種医療費助成の改悪や私学助成の削減などを打ち出す高橋知事。一方で道警の不正を解明しようとしない。このことへの怒りが高まっているのです。引き続き不正の徹底究明に頑張りたい」