2003年12月26日(金)「しんぶん赤旗」
厚生労働省の労働政策審議会が二十五日、子どもの看護休暇の制度化、パートや派遣など有期雇用で働く労働者へ育児・介護休業の適用を拡大するなど、育児介護休業法の改正をもりこんだ建議をまとめました。来年の通常国会に提出される見込みです。
改正の具体的な内容は主に四点。一つは、有期雇用労働者で、休業の申し出の時点ですでに一年以上同じ事業主に雇用されている人について、あらたに育児・介護休業制度の対象に加えるものです。育児休業については、子どもが二歳になるまで、雇用契約が継続する可能性があることが条件。
二点めに、育児休業の期間の延長です。保育所に入れないなどやむをえない事情がある場合に限り、現行一歳までとなっているものを、半年間の延長を認めるもの。
三つめに、介護休業を、家族の要介護状態ごとに分割して通算三カ月まで、とれるというもの。
四点めには、子どもの看護休暇の制度化です。小学校就学前の子どもをもつ労働者一人につき年間五日の看護休暇を、労働者の請求により取得できるようにするものです。
休業中の所得保障の改善や育児休業の分割などについてはもりこまれていません。
今回もりこまれた内容は、いずれも仕事と子育ての両立を願う労働者、とりわけ出産・育児で仕事をやめざるをえない多くの女性労働者の切実な要求であり、一定の前進といえるものです。
とりわけ急増しているパートや派遣で働く労働者は、その多くが期間を定めて雇用される有期雇用契約で働いています。有期雇用労働者が育児・介護休業法の適用外におかれていたことは、日本共産党国会議員団もくりかえし国会でとりあげて改善を求めてきました。
今回の建議は、有期雇用労働者に育児・介護休業取得の道をひらくものですが、しかし適用基準が複雑で条件が厳しいことは大きな問題です。雇用実績一年以上に加えて、子どもが二歳になるまで、契約更新の可能性があることなどが必要で、これではどれだけの適用対象がひろがるのか実効性は疑問です。また一年未満の短い期間で雇用契約を結んでいる労働者は、依然として適用対象の外におかれています。労働者への制度の適用を嫌う経営側が、三カ月、六カ月などの短期の契約を繰り返す無権利な働かせ方の増加に拍車をかけることにもなりかねません。
日本共産党は六カ月以上の雇用実績のあるすべての労働者を育児介護休業法の適用対象にすることを要求しています。