2003年12月24日(水)「しんぶん赤旗」
「政治に口も出すが金も出す」(奥田碩日本経団連会長)――。日本経団連は、来年からの企業献金あっせん再開に踏み切りました。
旧経団連が企業献金あっせんをやめたのは一九九三年九月。当時、佐川急便事件や故金丸信元自民党副総裁をめぐる巨額脱税事件、ゼネコン汚職事件などが次々と発覚。「政治とカネ」をめぐる問題へ国民の批判が高まるなか、企業献金あっせんをやめるところまで追い込まれたのです。
そのため自民党の政治資金団体・国民政治協会の企業・団体献金は、九三年には七十七億六千万円あったものが昨年(二〇〇二年)は二十五億六千万円と三分の一に激減。日本経団連の会員企業による政党本部への献金額は十七億円前後といわれています。
しかし、奥田会長は「政治へのいらだちを覚えていた」(大手銀行幹部)といい、ことし八月のマスコミのインタビューに「提言をたくさん出しましたが、実行に移されてこなかった…そのためには政党への寄付が必要だと思います」と語っています。
少なくても日本経団連会費相当額の四十億円を集めようというのです。
九三年九月に出した旧経団連会長・副会長会議の「企業献金に関する考え方」では、「政治資金は、公的助成と個人献金で賄う」「企業献金に依存しない仕組み作り」をめざしました。そのため、九五年に政党助成金制度がはじまり、日本共産党を除く各党に支出され、昨年自民党が受け取った政党助成金は百五十一億六千万円。企業献金が減った分を穴埋めしてもなお大きく上回る額です。
ところがそれにくわえて日本経団連は企業献金の「意義を再認識すべきである」(五月の会長・副会長会議)と主張しました。
「奥田ビジョン」とも呼ばれた二〇〇三年一月一日付の日本経団連新ビジョン。ここでは「与野党の政策と実績を評価した上で、企業・団体が資金協力する際の参考となるガイドラインを作成する」とし、自民党だけでなく民主党や公明党もふくめた政党への献金方針を打ち出しました。
憲法違反の政党助成金にくわえ、企業献金あっせん再開で、財界好みの政治を実現するのがねらいです。
(山本豊彦記者)