2003年12月22日(月)「しんぶん赤旗」
「征伐隊」などを名乗り、昨年十一月から十都道府県で連続した二十三件の襲撃・脅迫事件。これまでの捜査で、六件が刀剣愛好家団体「刀剣友の会」幹部によって実行された疑いが強まりました。発生場所は逮捕された幹部の生活範囲とほぼ重なります。会の活動で独自の国粋思想を展開する会長の村上一郎容疑者(54)を中心に、各地の賛同者が「テロ実行部隊」に変質した構図が浮かび上がってきました。
一連の事件のうち容疑者が逮捕されたのは東京、新潟、名古屋、大阪、広島の五都府県の六件。東京の二件に関与した幹部は横浜市に居住。新潟事件は同県長岡市、名古屋事件は同市と三重県四日市市、広島と大阪の事件は兵庫県姫路市に住む幹部が実行したとされます。村上容疑者以外の十人は会の顧問や理事などを務める三十―五十代の男。歯科医師や住職、会社役員など社会的地位がある者が目立ちます。
村上容疑者は「刀剣友の会」の会報で、「日本を真の独立国に変えていくことに精いっぱい参加しようと望む現代の『さむらい』の集い」と定義。北朝鮮や中国のほか、外務省の外交姿勢などを激しく非難していました。
事件に関与した幹部に報酬が払われた形跡はなく、村上容疑者の「参加」呼び掛けに呼応した可能性もあります。逮捕された幹部の半数近くは昨年九月十七日の日朝首脳会談の開催が公表された後、新たに顧問や理事に就任しており、同容疑者が自分に強く賛同する会員を選んで幹部に就任させた可能性も。
同会は既成の右翼団体でないため、警察当局のマーク外にありました。今後は愛好家集団の中心部分がいつ「テロ集団」に変わったかや、村上容疑者と「実行部隊」との個別の関係の解明が焦点となります。
同時に解明すべきは、同会の最高顧問に就任していた民主党の西村真悟衆院議員の責任です。最高顧問への就任は、ことし七月で、逮捕容疑となった事件の直後。就任後も事件は繰り返されています。政治献金をもらっていたことも含め、最高顧問を引き受けた理由などについて、同議員は説明すべきです。