2003年12月21日(日)「しんぶん赤旗」
【ベルリン19日片岡正明】ドイツ連邦議会と連邦参議院は十九日、両院協議会で解雇規制緩和など一連の「改革」法案を採択しました。解雇規制緩和には労組の反対が強く、与党の社民党(SPD)、90年連合・緑の党の議員のうち六人が「労働市場のアメリカ化反対」を主張して反対にまわりました。民主的社会主義党(PDS)も反対しました。
一連の法案はシュレーダー首相が提唱する改革案「アジェンダ二〇一〇」の一環。同首相はドイツ経済の悪化と高い失業率などの打開を目指し「社会福祉国家立て直し」を宣言しています。
今回採択されたものでは、解雇規制緩和や失業保険の給付期間大幅削減などの労働政策改悪が目立ちます。内容は(1)十人以下の小企業の解雇規制の緩和(2)失業給付を期間を最長で二年八カ月あったものを十二カ月に減(五十五歳以上は一年六カ月)(3)失業保険の切れた後に出る失業援助金は日本の生活保護に当たる社会援助と同額に引き下げる(4)長期失業者が職安のあっせんする仕事を拒否した場合、援助金を減額する−など労働者の負担増が中心です。
また、所得減税で最高課税を45%(現行48・5%)、最低課税を16%(現行19・9%)とする一方、たばこ税を引き上げ、持ち家を建てる際の補助金や通勤補助金、農業補助金を削減します。
ドイツ議会では与党が多数を握る下院の連邦議会で「改革」法案が採択されるものの、野党のキリスト教民主同盟(CDU)などが多数を握る上院の連邦参議院でほとんどが否決されていました。両院の妥協案で法案はさらに改悪されたもの。十一月にはベルリンで十万人集会が開かれました。