2003年12月20日(土)「しんぶん赤旗」
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「征伐隊」事件で逮捕された村上一郎容疑者(54)は、みずから主宰する「刀剣友の会」の最高顧問に民主党の西村真悟衆院議員(55)を担ぎ、先の総選挙でも同議員を支援するなど同議員と親密な関係でした。
村上容疑者は秋田県出身。法政大法学部を卒業後、別の会社を経て岐阜県内で樹脂製品や日本刀、ナイフの卸売り、健康飲料販売などを行う会社の社長となり、現在は役員として事実上の代表を務めています。
愛好家団体「刀剣友の会」(日本人の会)を主宰。月刊の会報では刀剣類の紹介のほか、二○○一年五月に右翼団体メンバーらと尖閣諸島・北小島に日本刀を持って上陸し、経緯を「憂国断行レポート」として掲載していました。
みずからを「日本国臣民」、中国を「朝敵」と呼び、「国賊外務省」などと書いていました。
西村議員の事務所では、同議員は地元の支援者を通じて約四年前に村上容疑者を紹介され、「年に一、二回会ったり、会の講演を頼まれたりする間柄」(政策秘書)でした。
「刀剣友の会」会報(二〇〇三年・年末特集号)では、村上容疑者が「先日の衆議院議員選挙に際しましては、日本人の会/刀剣友の会・最高顧問・西村真悟に絶大なるご支援を賜りまして誠にありがとうございました」と会員に報告。多くの会員が西村議員応援のためにカンパを寄せていました。
これに西村議員も「当選御礼」の文書を掲載。「総選挙においては、村上会長はじめ会員各位の絶大なご支援のもとで『日本一の選挙戦』を展開し、当選の栄誉を与えられましたことに対し、心よりお礼申し上げます」「これからも、会長はじめ会員各位には、同志としてともに国家再建のために戦っていただくことをお願いして、お礼のご挨拶をしめくくらせていただきます。日本万歳! 大和魂万歳! 日本刀万歳!」としるしています。
同会は尖閣諸島上陸を試みたことがある西村議員を「囲む夕べ」を開催。○一年十二月に大阪市内で開かれた「村上一郎氏の褒章・尖閣諸島上陸・出版を祝う会」では、同議員が発起人として名を連ねているなど親密な関係でした。
また、同議員事務所によると、村上容疑者は西村議員側に政治献金も行っており、会社名義で二百十万円の献金があったといいます。
逮捕されたのは以下の六人。岐阜市西川手、会社役員・村上一郎容疑者(54)=「刀剣友の会」会長▽兵庫県姫路市別所町北宿、会社員・服部達哉容疑者(40)=同会理事▽横浜市神奈川区西神奈川、古物商手伝い・中村隆治容疑者(32)=同会青年隊隊長▽岐阜県岐南町伏屋、パソコン教室講師・麻布孝弘容疑者(38)=同会会長秘書▽横浜市神奈川区松見町、古物商経営・野々山文雄容疑者(52)=同会理事▽岐阜県柳津町東塚、会社員・速水春彦容疑者(46)=同
「征伐隊」「建国義勇軍」などを名乗る一連の襲撃事件で犯人は、犯行声明の電話や脅迫状で「北朝鮮に反省がなければエスカレートする」などと予告していました。
犯人がねらったのは、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の関連施設、日教組、オウム真理教(現アーレフ)や、野中広務、加藤紘一両元自民党幹事長ら五人の国会議員や前議員ら。
犯行は(1)深夜、建物に銃弾を撃ち込む(2)ライフルの銃弾と脅迫状を送り付ける(3)ステンレス製ポットやリード線で発火を狙った不審物を置く─三形態。北朝鮮が日本人拉致を認めた昨年九月十七日の日朝首脳会談以降に始まり、万景峰号の新潟港入港などに合わせるように起きていました。
「爆発物」が置かれたのは東京、新潟、福岡など四件。ステンレス製ポットにガスボンベを入れ、リード線をつなげる点が共通していました。日教組本部前に置かれたものは粘土を使い、プラスチック爆弾を偽装。鑑定の結果、いずれも発火しないことが分かりました。
オウム施設に対する発砲でも犯行声明で「朝鮮人なんやないか。お前ら殺してやる」などとしていました。
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