2003年12月20日(土)「しんぶん赤旗」
自民党埼玉県議ら六人の海外視察中の買春疑惑をめぐり県議会最終日の十九日、六人にたいする辞職勧告決議案が提出されましたが、最大会派の自民党が疑惑議員をかばい反対、否決しました。六県議は買春行為を全面否定したものの、疑惑を報じた日本テレビに一切抗議していません。
自民党は数の力で辞職勧告決議案を葬る一方、六人に「自戒反省を求める」とした決議案を提出し可決。疑惑解明と辞職を求める県民の声を封じ込め幕引きを図った形です。
日本共産党の山岸昭子団長は辞職勧告決議案の賛成討論で「そもそも女性の人権や尊厳を重んずべき立場にある議員が視察先において買春を疑われるような行動をとること自体、到底許されることではない。それだけで議員としての品性と倫理観が問われる問題であり、議員として失格」と六県議の行為を厳しく批判。県民から寄せられた「議員を辞職すべきだ」「税金を払う気になれない」など千二百件を超す抗議の声を紹介し「六人の議員や自民党はこうした声をどのように受けとめているのでしょうか」とのべました。
辞職勧告決議案には民主党、地方主権の会が賛成。議長に辞職勧告するよう申し入れた公明党は辞職勧告決議案に賛成する一方で、自民党の「自戒反省を求める」決議案にも賛成する支離滅裂な態度をとりました。
共産党 埼玉県議会の海外行政視察について、日本共産党は友好親善視察以外の行政視察には参加しないという方針を貫いてきました。今春の県議改選に伴う臨時議会後に議長や各会派に対して要望書を提出して「海外行政視察については、現下の厳しい財政状況等にかんがみ原則廃止とし、友好親善を含め必要に応じて各会派の合意のもとに実施する」ことを提起。その立場から今回の産業・防災アジア行政視察についても唯一反対しました。
埼玉県議六人の「買春」疑惑をめぐって十九日、県内の女性団体や労働組合女性部、日本共産党埼玉県委員会女性児童部などによる抗議集会が県庁前で開かれ、真相究明と六県議の議員辞職などを求めました。参加者は集会後、滝瀬副次議長と各会派を訪れ、徹底調査と責任追及を申し入れました。
集会で参加者は「『視察費用を返す』と言うが、それで済む話ではない。女性の人権についてもっと真剣に考え、徹底的な真相究明をしてほしい」「全国にさきがけて男女共同参画条例を制定した埼玉県議会の議員がこのようなことをするなんて許せない。疑惑の六議員は辞職すべきだ」などと、怒りの声があがりました。
日本共産党の、あべ幸代県副委員長(参院埼玉選挙区候補)も参加。
県議会事務局には、この問題に関する抗議や問い合わせが、十九日正午現在で合計千二百四十四件、十九日だけでは七十三件寄せられています。事務局によると、内容は「六人とも辞職すべきだ」「こんな事件があると、税金を払う気をなくす」の抗議や、「六人はまだやめないのか、もうやめたか」という問い合わせが多数を占めています。
日本テレビが十三日に放送した埼玉県議会の産業・防災アジア行政視察団一行の「買春」疑惑に県民の怒りが沸騰しています。
海外視察に出かけたのは、斎藤正明、成塚常吉、細田徳治、田島敏包、蓮見昭一(以上自民)、佐久間実(無所属)の六県議。
番組では、ベトナムのホーチミン市で視察団一行六人中、五人が大型バスで繁華街にくりだし「マッサージ店」とおぼしき店に入り、バスローブ姿で順番を待ち、やがて部屋に消えていく姿が映し出され、地元男性が「(同店では)性行為も可能」とコメントしました。
タイのバンコクでは、六人全員が日本語名のクラブ「かわいい」に行き、ひな壇に並ぶ女性のなかからそれぞれ一人を指名して奥の部屋へ移る様子や、斎藤団長が女性を宿泊先のホテルに連れて帰る姿などを放送しました。
六県議は県議会に提出した「報告書」で「買春」行為を否定する一方、視察費用五百三十万円の返却を申し出。「現地ガイドに、視察団のメンバーに疲労が蓄積したので、どこか指圧へ案内してほしい、とお願いしたところ、案内されたのが放映された所」「私ども全員テレビを見て、初めてそこがクラブであり、店の名前が『かわいい』ということがわかりました」と釈明しています。記者会見した斎藤団長は女性をホテルに連れて帰ってきたことについて「純粋にお土産を渡しただけ」と言い訳しました。
視察団がベトナムやタイで宿泊したホテルはどちらも最高級ホテルでマッサージルームやサウナも完備。
「宿泊ホテルにもマッサージルームがあるのに、なぜ他のマッサージ店まで出かける必要があるのか」「お土産を渡すだけで、わざわざホテルのカウンターで手続きまでして部屋の近くまで女性を連れていくだろうか」と疑惑は深まるばかりです。