2003年12月16日(火)「しんぶん赤旗」
国土交通大臣が行う国家試験「自動車整備士技能検定」で、整備の基本的な知識や技能の習得をみる「二級」「三級」の試験問題も国交省が、自動車メーカー側に事前に見せていたことが十五日までに分かりました。
検定をめぐっては、トヨタ自動車が「一級小型」検定の筆記試験問題を検定専門委員を通じて二年連続で系列販売店に漏らしていたことが発覚しています。
国土交通省は「一級」の試験問題が漏えいしていたことについて「電子制御や低公害車など『一級』の問題は技術的に高度なため、問題を自前ではつくれず、メーカーの協力を得ている」と弁明していました。
しかし、「二級」「三級」の問題は、同省が自前で作成。その作成した問題をメーカー各社の推せんした検定専門委員を集め「審査」していました。同省は「自動車の技術は日進月歩で、技術的なノウハウにかんしては(メーカーに)確認してもらう必要がある」といいます。
しかし、検定試験は、自動車メーカーが模擬試験などを繰り返し行い、合格の道を付けています。「一級」問題を漏えいしていたトヨタは練習問題として受験生に教えていました。
試験問題をメーカー側に知らせていたことについて自動車業界関係者は「メーカーと国交省の構造的癒着そのもの。キツネに油揚げの番をさせるようなものだ」と批判します。
「検定」は「三級」「二級」「一級」のほかにタイヤなどの「特殊整備」があります。難易度が最も高い「一級」以外の最終合格者は年間四万人を超え、整備業を開くには「二級」が必要です。