2003年12月16日(火)「しんぶん赤旗」
政府税制調査会(石弘光会長)は十五日、二〇〇四年度の税制「改正」に関する答申を小泉首相に提出しました。答申は、消費税率が10%以上の二ケタに引き上げられた場合の軽減税率の採用の検討など、消費税増税にむけた環境整備を促しました。また、消費税を地方へ移譲する税源とする方向も示しました。
答申は、高齢者の税負担を軽減している公的年金等控除や老年者控除の縮減を打ち出す一方で、大銀行による不良債権処理の税制上の優遇や大企業の法人税軽減につながる連結付加税の廃止などを盛り込みました。
国と地方の税財政に関する「三位一体改革」(国庫補助負担金の廃止・縮減、地方交付税の縮小、地方への税源移譲)では、来年度は暫定措置として、たばこ税の一部を地方に移譲し、中長期的に移譲する基幹税として、所得税を住民税に移譲する方向を示しました。また、移譲する基幹税として消費税を検討するともしました。
石会長は記者会見で、移譲する税源として将来的には「当然、消費税もある」とする一方、「5%のままでは難しい」「(税率が)上がったときには消費税があり得る」と述べ、消費税を増税した上で、地方に移譲する考えを示しました。
〈消費税増税の方向〉
●将来の税率引き上げ時にむけて軽減税率化の対応を検討
●地方へ移譲する税源として検討
〈庶民増税〉
●公的年金等控除の縮減
●老年者控除の縮減
●住宅ローン減税の段階的縮小
●個人住民税の均等割を引き上げ、妻の非課税措置の廃止
〈大企業・大銀行減税〉
●不良債権処理の税制上の優遇
●連結付加税の廃止