2003年12月14日(日)「しんぶん赤旗」
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国家試験「一級小型自動車整備技能検定」の筆記試験問題がトヨタ自動車の系列販売店に二年連続で漏えいしていた問題で、国土交通省がトヨタ以外の乗用車メーカー五社の「検定専門委員」にも、試験問題のコピーを事前に郵送していたことが十三日までに分かりました。
「一級」整備士検定の筆記試験問題は全部で五十問。「エンジン」「シャシ(車台)」「故障診断」「環境保全」「安全管理及び法規」の五科目のうち「安全管理及び法規」の十問を除く四十問のコピーが、国土交通省から各自動車メーカーに事前に渡っていました。このためトヨタは系列販売店向けホームページに、他社作成問題も含む三十八問を掲載することができたのです。
同試験は五十点満点で四十点で合格します。
問題を渡したことに同省整備課は「昨年度の試験問題でミスがあり三問が無効になった。万全を期す意味でじっくりと検討してもらいたかった」と説明。「調査をしたがトヨタ以外のメーカーでは漏えいはなく検定システムに問題はない」としています。
試験問題を審査する「検定委員会」には、メーカーが推薦した検定専門委員十二人が参加しています。今回は「小型」であるため、トヨタを含む乗用車関係六社の検定専門委員が審査にかかわりました。
また、同省は試験問題の原案作成を各自動車メーカーに依頼。トヨタは昨年十一問、今年十二問の原案を提出しました。検定委員会で審査された昨年の問題をみると十一問中八問が「ストーリーや表現まで一緒」(トヨタ東京本社広報)でした。
同省整備課は「法規を除く技術問題はメーカーに太刀打ちできない。技術の進歩に追いついていくにはメーカー案を尊重せざるを得ない」とメーカーに「丸投げ」の問題作成を語ります。
国家試験が、国土交通省と自動車メーカーの「癒着」によってゆがめられている構図が浮き彫りになっています。