2003年12月12日(金)「しんぶん赤旗」
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日本航空乗員組合(近村一也委員長、千二百五十二人)が、会社側が労働協約を一方的に破棄し、就業規則を不利益に変更したことは無効だ、として争っていた「空の安全裁判」(就労義務不存在確認訴訟)の控訴審判決が十一日、東京高裁民事十四部(西田美昭裁判長)でいい渡され、一審同様、組合側が完勝しました。第一次原告は四十三人。
判決では、交代要員なしの二名および航空機関士を含めた三名編成での運航について、「乗務時間および勤務時間の制限を変更した規程は、合理性を有すると認められない」として、会社側の就業規則を否定。三名編成は一審では認められていませんでした。
また、乗務、勤務時間が規程を超えても最終目的地までは飛行しなければならないとする「勤務完遂の原則」については、「(乗員に対して)不利益に変更したものではなく合理性を有する」として会社側のいい分を認めつつ、もともとその判断は機長にゆだねることになっており、機長が乗員と協議して安全運航上、支障があると判断した場合は、その限りではないと判断をしました。
原告で裁判係争中に機長に昇格し、規程が適用されない十二人については、「訴えの利益がない」として却下しました。
原告・弁護団は、「判決は運航乗務員の労働条件(勤務基準)を無効とし、労働条件の切り下げが国民の生命と運航の安全を脅かすものであることが認められた」と、高く評価しました。また、会社側に対して、「ただちに不安全な運航をやめ、勤務基準について一日も早く組合との協議に入るべき」との声明を発表しました。