2003年12月11日(木)「しんぶん赤旗」
川崎重工神戸工場、兵庫工場で働く労働者十六人が不当労働行為による職能等級差別の是正を求めていた争議で、兵庫県地方労働委員会(安藤猪平次会長)は九日、申立人全員を救済する命令書(二日付)を労働者らに送付しました。
川重は、一九六〇年−七〇年代の労働組合運動の高揚を抑えるために、会社の労務管理施策や労働組合の労使協調路線に反対する「統一派」の労働者に対し、昇進・昇給差別を行ってきました。労働者十六人は九四年六月、差別の是正を県地労委に申し立て、たたかってきました。
命令書は、会社が申立人らの正当な組合活動を「嫌悪して、申立人らの職能区分・等級を恣意(しい)的に低く据え置き、その結果、申立人らの基準賃金、期末手当及び退職金に格差を生ぜしめて不利益取扱いを行った」と認定し、(1)申立人全員の職能等級の是正(2)九三年十一月一日以降の基準賃金、期末手当、退職金について是正賃金との差額の支払い(3)川重に在籍する申立人に対し、正当な労働組合活動を理由に昇進・昇給で不利益な取り扱いの禁止−を命じています。
川崎重工争議支援共闘会議ら支援三団体は十日に声明を発表し、「過去における会社の行為であっても審査の対象とすることができる、と判断した画期的命令」と評価。
同争議団団長の坂本明さん(65)は、「長いたたかいが認められ、大きなステップを踏み出しました。大企業に社会的責任を果たさせる一歩にしたい」と語っていました。