2003年12月6日(土)「しんぶん赤旗」
日本共産党第十回中央委員会総会(三日〜四日)で採択された志位和夫委員長の結語は、次のとおりです。
みなさん、二日間の会議、ご苦労さまでした。
この総会は、総選挙の総括と教訓を主題とする会議でした。幹部会報告では四つの角度からその中心点をのべましたが、それは討論で深められ、衛星通信を視聴して、全国から寄せられた感想でも積極的に受けとめられたと思います。
幹部会報告では、党中央の反省点も明らかにいたしました。全国の多くの同志たちが感じていた問題点について、私たちが可能な限り掘りさげて反省点を明らかにしたことについて、討論でも、全国からの感想でも、全体として前向きに受けとめていただいたことに、感謝するものであります。
もちろん、さらに解明・究明すべき問題は、中央としても、地方としても、あると思います。総選挙のとりくみから総括と教訓をくみだす仕事は、今後もすすめていきます。十中総を基本的な指針として、今後の討論によってさらに深めていきたいと思います。
討論で出された個々の要望については、常任幹部会の責任で、一つ一つ吟味し、対応することをお約束するものです。
十中総は、党の新しい前進にむけての大事な転機をなす会議になりました。これをどう生かすかが大切であります。総括と教訓を深め、全党のものにしながら、それを生かしてただちに国民のなかに足をふみだしていく──この姿勢が大切であります。そうしてこそ、総括と教訓も豊かなものになり、党の前進にとっての生きた糧(かて)にできます。総括しつつ実践し、実践で総括を深め、つぎのたたかいに生かす──そうした不屈性・戦闘性の発揮が、いま党にもとめられています。
結語では、三つの点を強調するものです。
第一に強調したいことは、「確信にすべきは確信に」の立場に立って、ただちに国民のなかに打ってでて、たたかいをおこそうということであります。
討論では、選挙後の状況として、「選挙をたたかって元気になった」、「国民の反応はあたたかい」、「がんばってくれと激励される」──そういう状況があることが共通してだされました。これはたいへん大切ないまの状況の特徴だと思います。こういう状況が生まれる根本には、わが党が選挙戦のなかで真の争点を見抜いて訴えた、国民の利益をかかげてたたかい抜いた、道理ある訴えをつらぬいたということがあります。このことが、党が後退した後にもかかわらず、いろいろな確信や期待という形であらわれているのであります。残念な後退をきっしたが、訴えた中身に間違いはない。先駆的な訴えだった。この確信はたたかった同志の共通のものだと思います。「確信にすべきは確信に」という立場で、公約実践と要求実現のたたかいにただちに立ち上がることが、いま強くもとめられています。
とくにイラクへの自衛隊派兵を許さないたたかいは、重大な局面にたちいたっています。きょうの報道では、政府は来週にもイラク派兵の「基本計画」の策定を強行し、年内または年初めにも派兵を強行する構えです。十中総で採択した「国民へのアピール」を広く活用して、たたかいに打ってでる、まさにそういう大事な瞬間であります。全国どこでも、節々でいっせいに行動をおこし、その行動を回を追うごとに広げていくたたかいをすすめたいと思います。
そのさい、党が自らたたかいをおこす──たたかいの組織者として奮闘することが肝心であります。十日には中央集会も予定されておりますし、各地の集会も予定されていますけれども、そういう集会も党としてしっかり位置づけて、さまざまな宣伝物を持っておおいに参加する必要があります。
日本共産党は、イラクの問題について、戦争が始まる前には平和解決のための主張と行動をおこない、戦争が起こった瞬間にそれをきびしく糾弾し、大量破壊兵器の問題など戦争の大義のなさについてもいち早く大問題にしてきた、この問題で一貫して世界平和の道理に立って奮闘してきた党であります。そういう党の真価を発揮して、大奮闘をしようではないかということを、呼びかけるものであります。
第二は、参議院選挙勝利のためのたたかいを、ただちに開始することです。
私たちは、幹部会報告で明らかにした党中央の反省点を、次の参議院選挙にただちに生かす決意であります。反省というのは何よりも、次のたたかいに生かすためのものであって、二度と総選挙のような遅れをきたさない、そして正確な戦略のもと正確な論戦を組み立てていく責任を果たす決意を、表明するものです。
たたかいの基本は、比例代表選挙を選挙戦の中心にすえてたたかうことにあります。また、七つの現職区での勝利のために、党のもてるあらゆる力を結集、発揮することが重要であります。
比例代表選挙は、全国どこでも必勝区であって、全国すべての都道府県、地区委員会、支部が、これを「自らのたたかい」として、それぞれが決めた得票目標、支持拡大目標の実現をめざし、比例代表選挙のたたかいで、一票一票をしのぎを削って争い、議席に結びつけることに責任を持ってとりくむ──そういうたたかいをすすめなければなりません。
総会の発言のなかで何人かの同志から、「衆議院が中選挙区制だった時代と比べて、国政選挙そのものの位置づけが弱くなっている」という発言が出されたことは、たんにその県だけの問題ではなく、不破議長からも発言があったように、総選挙と参議院選挙をとりくむ全党的な方針の抜本的かつ総合的な発展が必要となっているという、重要な問題を提起しています。国政選挙の位置づけをどのように抜本的に強めるかということを真剣に探求しながら、参議院選挙のたたかいを、全国どこでも、いかに「自らのたたかい」としてとりくむ選挙にしていくかに、知恵と力を注ぎたいと思います。
参議院選挙の勝利にむけてただちにとりくむべき二つの課題をあらためて明確にしておきます。
一つは、幹部会報告でも提起した比例代表選挙をたたかう新しい方針を、「後援会ニュース」も活用して、すみやかにすべての後援会員と支持者につたえきり、支持と協力をお願いする活動を、期限を区切って一気にやりきる。このことで選挙戦を本格的にスタートさせるということであります。
いま一つは、選挙区選挙の候補者決定の問題です。現状は、四十七の選挙区のうち候補者が決まっているのは二十五選挙区にとどまっています。他党の状況をみますと、すでに参議院選挙の熱いたたかいがはじまっています。いま候補者が決まっていないというのは、これは重大視すべき遅れであります。どんなに遅くとも、年内には全候補者を決定して、選挙区選挙でも全国でスタートをきれるようにしたいと思います。
ただちにとりくむべきこの二つの課題をまずやりきるところから、参議院選挙勝利にむけたたたかいを開始してゆこうではありませんか。
第三は、党大会にむけて強く大きな党をつくる仕事にとりくむことであります。
草の根で国民と深く結びついた強く大きな党を築くことの重要性は、討論でも、全国からの感想でも、選挙戦の痛切な教訓として共通してのべられました。ただそのなかでも、若者が生きいきと奮闘したことが発言でも報告されましたし、全国からの数百にのぼる感想でも、若者からの感想がたいへん多く、たいへん積極的で感動的であることが特徴でした。それはこの分野での新しい前進をかちとる大きな条件の存在を感じさせるものでした。党大会にむけて、党員と読者をおおいに増やし、強く大きな党をつくるとりくみの本格的な前進を、何としてもかちとりたいと思います。
このとりくみは、悪政を国民におしつける財界戦略とのかかわりでも、ほんとうに重大な意義を持っています。幹部会報告でものべたように、いますすめられている財界戦略を打ち破り、わが党の新しい前進をたしかなものにするためには、「草の根で国民と深く結びついた党を強く大きくする以外に道はありません」、「これが唯一の大道であり、反動的くわだてにたいする最大の回答」であります。この提起にたいしては、全国からの多くの感想でも「そのとおりだ」、「これをもって答えよう」という力強い反応がかえってきました。
財界主導ですすめられている保守「二大政党制」づくりの動きは、これまでになく本格的なものです。ですから、こちらも本格的な構えが必要です。相手は、権力と財力を持っています。しかし、国民との深い矛盾を抱えています。さらに、この動きは大局的にみますと、危機におちいった支配体制を延命させようという動きであり、支配体制の危機の産物にほかなりません。ですからこれを打ち破れば、綱領路線の実現にむけた新しい局面と展望が開かれてきます。そのためにも国民と深く結びついた大きな党を築くことがどうしても必要な課題になっている。この場でもその決意を新たにし、支部を基礎に、すべての党員が参加する運動への発展を追求し、このとりくみの前進をかならずかちとろうではありませんか。
大会に向けた二つの任務──二つの大会議案の全党員への「届け」と討論、そして「党員・読者拡大の大運動」を、財界戦略を打破し、綱領路線の実現に道を開くという、わが党の戦略的任務とのかかわりであらためて深く位置づけ、党建設の運動の前進と高揚をはかりながら、歴史的な党大会をむかえようではありませんか。
以上をもって討論の結語といたします。ともにがんばりましょう。