日本共産党

2003年12月5日(金)「しんぶん赤旗」

三菱自工タイヤ脱落

「赤旗」追及で事故次々判明

国交省も知っていた


 二〇〇二年一月に横浜市で起きた三菱自工製大型車のタイヤ脱落事故で神奈川県警も三菱自工の安全対策の問題点を視野に詰めの捜査に入りました。

 同事故発生時、「前例のない事故」と一般紙が報道する中、本紙は事故の特性からみて車の欠陥に起因することはないのか、について徹底取材。その結果、同種事故が次々と起きていることを突きとめました。三菱側も、横浜の事故の四日前も含めて同種事故が多発していることを認め、新聞、テレビも大きく報じ、社会問題になりました。

 本紙はその後も、事故の実態とメーカーの責任を一貫して追及。一九九二年六月、東京の冷凍車で起きた事故以来、横浜の事故後も続発しており、事故件数は五十件に達していることが明らかになりました。

 こうしたなか事故から二年にして、神奈川県警が三菱自工本社捜索という異例の事態に発展してきました。

「整備不良」とユーザーに転嫁

 この事故は、車軸と車輪をつなぐ部品「ハブ」の破損が原因でタイヤが脱落するもの。三菱は、事故は「整備不良」によるものとしてユーザーの責任だと主張してきました。国交省もみずから検証することなく追認してきました。

 国土交通省は、三菱車のタイヤ脱落事故は、横浜市の事故が起きる前から把握しており、二度、三菱に報告を求めています。一度目は、九九年六月、島根県の国道でJRバスが起こした脱落事故です。

 二度目は九八年に北海道のトラクターで起きた脱落事故です。これは二〇〇〇年のクレーム隠しによる運輸省(当時)の立ち入り調査で、「事故内容」の説明を求められ「バス、トラックなどの違いがあるが島根と同じ事例」と口頭で報告したといいます。

総重量規制制限引き上げが影響

 三菱自工は「一連のクレーム隠しの中に脱落事故は入っていない。そのつど報告を受け、『整備不良』との判断で処理してきた」といいます。

 問題の車両は、八三年から九六年製の「ザ・グレート」シリーズ。自動車業界関係者から、「九三年の総重量規制の緩和が影響している」と指摘する声があります。総重量の上限が二十トンから二十五トンまで引き上げられました。

 三菱も九四年から、二十五トン対応車と二十トン対応車を両方生産しています。

 二十トン用ハブのフランジ(ホイールへの取りつけ個所)厚は二十ミリ。二十五トン用は二十二ミリと「二ミリ」厚くつくられています。破損が起きているのは二十トン用の「ハブ」だけです。

 三菱は「フランジ厚が致命的かどうか分からない。耐久性の安全値をどれほどとっているか安全係数は答えられない」としています。(遠藤 寿人記者)


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