2003年12月5日(金)「しんぶん赤旗」
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労働組合・日本プロ野球選手会(古田敦也会長=ヤクルト)の定期大会が4日、大阪市内のホテルで開かれ、全12球団から30人をこえる選手が集まり、代理人問題などを話し合いました。
上原浩治選手(巨人)の代理人交渉をめぐる問題については、選手会が定める規約にそった「正規の代理人交渉」であったことを確認。古田会長は記者会見で、手続きに不備があり代理人として認めないなどという球団側の対応を「ルール以前の問題でおかしな話だ」と批判しました。
さらに同会の代理人規約を変更し、米大リーグ選手会に登録された代理人を認めるとしました。これは、大リーグから帰ってきた選手らが従来の弁護士以外の代理人を利用する意向があることなどから代理人資格を広げたものです。
また、今春のキャンプで同会が実施した選手へのアンケート調査で、引退後の生活に多くの選手が不安を感じていることから、セカンドキャリア(第二の人生)について何らかの相談システムをつくっていくことになりました。今月12日には東京都内で現役選手、OBを対象にセミナーを開きます。
大会では役員改選も行われ、古田会長の再任、高橋由伸選手(巨人)の副会長新任などが決まりました。
選手会は、今回の上原選手の代理人交渉の正当性を全体で確認しました。上原選手が同行した弁護士を、巨人の三山球団代表がファクスでの通知がなかったとして代理人と認めず、アドバイザーとしたことについて、選手会は「確認事項として合意していない」(古田会長)ものであって、何らかの形で通知すれば事足りるとしました。
また、巨人がいうような「アドバイザー」的な存在を認めてしまったら、不適当な代理人を規制することができず、今後に大きな問題を残すことも指摘しています。選手会としては代理人制度を発展させるために、資格者の規制を行いながら、選手を守る立場を改めて示しました。
上原選手の代理人交渉をめぐる問題の背景には、機構・球団側と選手会との間で代理人制度についての合意ができていないことがあります。選手会はこれまで何度も代理人制度を交渉のテーブルにのせようと申し入れましたが、まともな話し合いはもたれず、実際は「棚上げ状態が続いている」(古田会長)といいます。
このままでは同様の問題が起きかねません。機構・球団には、選手の当然の権利である代理人を認め、早く交渉の場につくことが求められます。(代田幸弘記者)