日本共産党

2003年11月27日(木)「しんぶん赤旗」

長時間労働是正探る

トヨタ系企業・労組・労基署「ゆとり創造大会」

成果主義の強調など企業側の主張も反映

愛知


 異常な長時間労働や賃金不払い残業の是正をめざして、トヨタ自動車など企業と行政、労働組合、地域による第二回ゆとり創造大会が二十六日、愛知県豊田市で開かれました。主催はトヨタ系企業でつくる豊田労働基準協会と豊田労働基準監督署。連合愛知豊田地域協議会が後援しています。


 労働基準協会の杉浦文夫副会長は、長時間労働など労働時間管理の問題が「豊田地域も例外ではなく、行政当局に多くの相談・投書がよせられて」おり、「定期健康診断で年々数値の良くない方が増えている」と指摘。「勤労者が心身ともに健康で安心して働ける職場づくりに努めることが基本的命題」と強調しました。

 来賓あいさつで、鳥生隆愛知労働局長の発言につづいて、連合豊田地協の岡田剛代表がこの一年カードリーダーを設置し入退時間のチェックを労使で行った、今後は三六協定順守、労働時間の削減に労使でとりくみたいと表明しました。

 日本共産党の八田ひろ子参院議員のメッセージが紹介されました。

 大会では、「労働時間の適切な管理」「健康で安心して働くことのできる職場づくり」が強調されました。しかし労働時間の実態について、前回報告された労基署調査にかわり、今回は企業側の労働基準協会が行ったアンケート結果が報告されたり、特別講演で清家篤慶応大学教授が「ポイントは時間をどれだけ評価の軸から外していくか」と成果主義を強めることを強調するなど、企業の主張が色濃く反映しました。

 「ゆとり創造大会」が開催された背景には、トヨタ自動車や同系列企業の異常な長時間労働の実態があります。二年前、トヨタ自動車が労働基準法三七条違反(残業代不払い)で是正勧告をうけたことが報道されると、同社の労働者・家族から「体が心配。助けてください」と切実な訴えが集中。事態を重くみた労基署の働きかけで昨年四月、企業、労組、労基署によるゆとり大会を毎年開催することを決めました。

 豊田労基署には最近も「夫は平日毎晩午前零時すぎに帰宅、最近は土日も出勤。裁量労働の対象というが裁量はまったくない」「このままでは、家庭が崩壊してしまう」といった家族からの相談が相次いでいます。

 相談件数では、割増賃金問題(サービス残業)が〇一年度三十五件から〇二年度六十件、長時間労働では百四十三件から二百十四件へと急増しています。今年度は未集計ですが、「増加傾向」(労基署)といいます。

 トヨタ自動車では今年に入って、複数の在職死した労働者の遺族が過労死認定をもとめています。その一人は、三十歳の男性で、残業時間は月百五十時間でした。多大なストレスがかかる不良品処理の業務で、休日出勤も多く、労働組合活動をすることが昇進にプラスになるため職場委員を断れず、QC(品質向上)サークルのリーダーなども行っていたと遺族は証言しています。

 トヨタの異常な長時間労働の是正は依然、大きな課題となっています。


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