2003年11月26日(水)「しんぶん赤旗」
研修医の卒後臨床研修改善のための予算措置を求める運動をすすめている全日本医学生自治会連合(医学連)は二十五日、小西央彦(ふみひこ)委員長ら六人が、およそ二万人分(うち学生一万人分)の署名を財務省に提出し、「日本の医療全体を考えて、ぜひ予算をつけてほしい」と強く要請しました。
署名は、来年四月からの卒後臨床研修の義務化にともない、低い人で月数万円という研修医賃金の底上げを国の責任で行うよう求めるもの。社会問題化している研修医の夜間当直アルバイトをなくすことにつながります。すでに文部科学省と厚生労働省から三百五十三億円の概算要求が出ています。
財務省からは主計局主査らが応対。予算編成で検討中としつつ、「研修、教育内容の充実が必要という理解はしている。経費の内容は精査するが、予算の増額は必要だろう」と答えました。
一方、研修医賃金の底上げについては「雇い主は病院だからまず病院が支払うべきだ」として、教育予算は増額するが、賃金部分までは出せないとの認識を示しました。また「医者の生涯賃金は高い。国が研修医の賃金を出すことはできない」などと述べ、学生側から「賃金ではなく、日本の医療制度の改善の問題」「研修医の夜間アルバイトは国民の命にもかかわる」との批判が出されました。
要請には、日本共産党の小池晃参院議員が同席しました。
国家試験に合格した医者のタマゴたちが大学卒業後の二年間、特定の研修病院で実習します。これを研修医の卒後臨床研修(卒研)といいます。これまで卒研は努力目標でしたが、二〇〇〇年の医師法改正により、〇四年四月から必修化することになっています。これにともなって研修プログラムの策定、研修医の生活保障が緊急の課題になっています。
これらは、医学連が長年求めてきた問題でした。現行制度のもと研修医たちは、研修プログラムもなく、低い賃金で長時間働かされています。
多くの研修医は生活のため研修先とは別の病院での当直アルバイトを経験しています。昼間は研修で夜はバイト、というのが研修医の生活でした。その結果、一九九八年には研修医が過労死しました。また、医療過誤の要因ともなっています。
医学連はこうした実態を広く知らせるため、研修医アンケートなどで現状を告発。提言を発表し、問題の大もとにある研修医の低い賃金の改善を求め、署名などの運動を展開してきました。
署名は教授たちが率先して集めるなど、医学界の賛同も広がっています。