日本共産党

2003年11月25日(火)「しんぶん赤旗」

青木自民参院幹事長の道路公団疑惑

政界圧力あった

工事発注で電話“藤井メモ”は語る


 藤井治芳・日本道路公団前総裁は公団工事入札や人事などにからむ政治家・秘書官の圧力・介入疑惑を明らかにし、この藤井氏の主張に符合する“藤井メモ”の存在や関係者の証言が真相解明のための重要ポイントになっています。近藤剛新総裁は「(疑惑の)実態把握につとめたい」と発言しており、小泉内閣の対応が問われています。

「メモ魔」総裁

 藤井氏がマスコミで明らかにした疑惑は三つ。第一は、公団工事発注にからんで自民党の青木幹雄参院幹事長が藤井氏らに「圧力」をかけたという疑惑です。問題の工事は、青木氏の地元、島根県の山陰自動車道・仏経山トンネル西工事を含む十三件。道路公団は二〇〇一年十二月に、資金調達問題を理由に十三工事の発注を延期しました。青木氏はこれに激怒し、藤井氏や公団を監督する国土交通省幹部に直接電話したといいます。それを検証するためのひとつの「証拠」があります。

 本紙は、藤井氏と親しい人物がこの問題にかんする手書きの「藤井メモ」を所持していることを確認し、それを打ち直したメモコピーを入手しました。藤井氏は「メモ魔」として知られており、マスコミのインタビューでも「(青木氏から電話があった際)瞬間的にメモを作っておかなければいけないと思った。メモを見れば時間なども分かる」とメモ作成の事実を認めています。

 このメモ(詳細は別項)は、「(国交省)企画課長 青木幹雄事務所で仏経山トンネルの件で怒られる」(二〇〇一年十二月十九日)と書き出しています。その後、青木氏が「公団とたたかう」「俺のところを中国地方で、なぜ選んだのか」「俺が倒れるか、おまえらが倒れるかだ」などと、直接間接に圧力をかけてきた経過をくわしくしるしています。青木氏は、工事発注延期問題で藤井氏に電話をかけた事実そのものは認めており、このメモの検証がいよいよ重要になっています。

ほかにも疑惑

 第二は飯島勲・小泉首相秘書官をめぐる問題。

 今年七月、公団の財務諸表問題で公団四国支社副支社長の片桐幸雄氏が月刊誌に内部告発の手記を発表。公団は同年八月、片桐氏の副支社長を解任しました。

 片桐氏の人事について、飯島氏が「これは左遷じゃないか。いいか、片桐は処分するな。そのままにしておけ」などと藤井氏に電話し、公団との過去の関係も誇示したと藤井氏は語っています。

 他方、飯島氏は「藤井前総裁が指摘される事実はまったくない」と否定。真相は闇のなかです。

 藤井氏は「(飯島氏からの電話は)総裁室のソファで、部長らと聞いた。…私の前で一緒に聞いていた人がたくさんいる」と語っており、証人がいることを強調しています。両者の主張が対立する不可解な事態です。

 第三は、東京・赤坂のホテルニュージャパン跡地をめぐる故竹下登元首相の関与疑惑。

 この土地は千代田生命の関連会社が所有していました。同生命は九六年ごろ、旧建設省の外郭団体「民間都市開発推進機構」に土地を購入させようとしました。その際、千代田生命と親しい竹下元首相から、民都機構が購入するよう、当時、建設事務次官だった藤井氏周辺に働きかけがあったといいます。この話を拒否して以降、“竹下元首相にうとんじられた”と藤井氏はのべています。


「俺が倒れるか、お前らが倒れるかだ」 青木発言

 〈メモ抜粋〉

 ●01年12月19日

 午前 (国交省)企画課長 青木幹雄事務所で仏経山トンネルの件で怒られる。

 午後 (国交省)道路局長が「(公団総裁とともに)説明に行きたい」と申し入れるが、返事なし。「20日に返事する」

 ●20日

 午前9・15 青木事務所から電話。秘書と称して本人が総裁に(1)公団と会う気はない(2)文書で13本を外した理由と発注したものの理由を詳しく説明しろ(3)遅れたら議員調査権で正式にこれを申し入れる(4)それをもって公団と闘う。

 同9・25 道路局長に同趣旨の電話。(1)俺のところを中国地方でなぜ選んだのか(2)これを文書にして届けろ(3)このことは総裁に言ってある。

 同11・30 島根県土木部長が来訪。青木幹雄が「今後、公団、道路局、国土省には、一切頼まないから覚悟しておけ、俺が倒れるか、おまえらが倒れるかだ」と言っていた、とのメッセージがあった。

 ●25日

 青木から道路局長→高速道路課長へ「発注を先送りした工事にかかわる経緯」を詳しく文書で提出せよとの指示。(公団には一切その種の文書はなし)

 青木が本気でこのこと(13工事中止問題)を使い総裁を辞任させるように道路局長に指示し、そうすれば、許すと言った模様。


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