2003年11月24日(月)「しんぶん赤旗」
「第二十三回全国クレ・サラ・ヤミ金・商工ローン被害者交流集会」(熊本市、全国クレサラ対協など主催)は二十三日、「武富士問題と多重債務社会」をテーマにパネルディスカッションを開きました。同社元支店長やフリージャーナリスト、弁護士らが武富士の実態を告発、サラ金によって多重債務者がつくられる社会を転換しようと議論しました。
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武富士の元支店長で、盗聴の被害者である藤井龍さんは「ノルマに対し日別の目標をたてて、『遅れている、何やっているんだ、給料ドロボー』と一時間に何回も電話がかかってくる」と業務実態を告発。「毎朝出社すると支店に飾られた武井保雄会長の写真に『会長おはようございます』とあいさつし、賞与、昇給、研修後は会長に『お礼の手紙』を書く。それを当たり前だと思っていた」とふりかえりました。
武富士被害対策全国会議の新里宏二弁護士は「この会社はトラブルが多く、調べていくと構造的な問題があった。厳しいノルマで社員をせきたてる。武富士問題で、多重債務者はつくられている、とひしひしと感じた」とのべました。
議論は、武富士がメディアでのCMと広告に巨額費用を投じ、大手メディアがサラ金・多重債務問題、武富士の問題をほとんど報道しない問題に及びました。雑誌記事で同社から高額の裁判を訴えられている三宅勝久さんは「武富士は報道の口封じ手段として名誉棄損裁判を利用している。この問題は、ものをいう自由がない社会になるのかの試金石だ」と告発。
コーディネーターの大谷昭宏さん(ジャーナリスト)は「クレサラ問題はつきつめれば、国のあり方につながる。政治家、役人、メディアはお金になれば何をしてもいいのか。社会が金に振り回されているのではないか、問いかけられている」と話しました。
熊本市で開催されていた「第二十三回全国クレ・サラ・ヤミ金・商工ローン被害者交流集会」(全国クレサラ対協、全国クレサラ被連協など主催)は二十三日、「サラ金の高利こそが人びとの苦しみの根源」「高金利の引き下げを実現する」などの宣言を採択し、閉幕しました。
集会宣言は「国民生活はどん底、財界大企業は大もうけの悪政で、多くの人が生活苦からサラ金やヤミ金に手を出し、苦しんでいる」と指摘。ヤミ金融とのたたかいを続け、地方自治体に多重債務救済の施策の充実を求めていくなどとしています。このほか、武富士のCM中止、年金担保を処罰する規定制定、ヤミ金融の厳重取り締まりなどを求める決議を採択しました。
集会では田中康夫長野県知事が記念講演をしました。