2003年11月24日(月)「しんぶん赤旗」
自民、民主、公明各党の国防族議員でつくる「安全保障議員協議会」(会長・瓦力元防衛庁長官)は、集団的自衛権の行使容認や巡航ミサイルの導入、非核三原則の見直しなどを内容とする「『主体的防衛戦略』の具体化に向けて」と題する文書を公表しました。同協議会などの主催で二十日から都内で開かれている「日米安全保障戦略会議」にあわせて明らかにされたものです。
「主体的防衛戦略」は、国是とされる「必要最小限の実力行使である専守防衛」の建前について、「ならず者国家」やテロリストの脅威といった新たな情勢変化のもとで、「相対的なものにならなければならない」(同協議会事務総長の額賀福志郎・自民党政調会長)として否定。「軽武装、経済優先をうたった(戦後の)『吉田ドクトリン』を乗り越えた新しい防衛戦略」(同)だとしています。
公表文書では、「主体的防衛戦略」の柱として、「日本周辺有事・緊急事態に対する共同対応態勢の確立」や「国際秩序維持に向けた国際任務遂行の積極化」など四点を提起。同戦略の「具体化のための主要課題」として、政府も憲法上許されないとしている「集団自衛権行使論議の克服」を強調し、本格的な自衛隊海外派兵体制の構築を求めています。
「日本有事・緊急事態に対する対応態勢の強化」として、「(防衛庁の)国防省ないし防衛省への改組」や「ミサイル防衛体制の推進」のほか、米軍がイラクへの先制攻撃でも多用した「巡航ミサイルの導入」を明記し、敵基地攻撃能力の保有を提起。さらに、核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませずとした「非核三原則の見直し」まで打ち出しています。
・ミサイル防衛体制の推進―集団自衛権行使論議の克服
・巡航ミサイルの導入
・国防省ないし防衛省への改組
・日米防衛協力の指針の深化・充実
・国民保護法制の充実
・非核三原則の見直し
・米国を中心とする多国間共同訓練実施の促進
・集団自衛権行使論議の克服
・自衛隊派遣に関する要件の国際標準化
・武器使用基準の国際標準化
・集団自衛権行使論議の克服
・武器輸出三原則の見直し
安全保障議員協議会 自民、公明、民主各党の国防族議員でつくる団体で、軍備拡大など政府の安全保障政策にみずからの主張を反映させるために結成されました。主要メンバーとして瓦力・元防衛庁長官が会長、額賀福志郎・自民党政調会長が事務総長、久間章生・自民党幹事長代理が副会長をつとめています。民主党からは前原誠司・明日の内閣「安全保障大臣」が常任理事をつとめています。
集団的自衛権 “自分の国が攻撃されていない場合でも、その国と密接な関係にある外国が攻撃を受けた場合、一緒に武力で反撃できる権利”とされています。日本はこの権利は保有するが、行使はできないというのが、歴代政府の憲法解釈です。憲法九条のもと、自衛のための武力行使を認めるとしても「わが国防衛のための必要最小限度」にとどまるべきで、集団的自衛権の行使は、その範囲を超えるという理由です。