2003年11月23日(日)「しんぶん赤旗」
「一日十六時間働いているのに残業代も出ない」−。二十二日、九都道府県で実施した「残業・過労死一一〇番」には、サービス残業で過労死や過労自殺寸前まで働かされている深刻な相談が相次ぎました。日本労働弁護団と過労死弁護団全国連絡会議が初めて共催しました。
|
○相談事例● ◇毎日4、5時間の残業。ほとんど休暇が取れない状況で、38度の熱があっても出社しなければならない。残業代はなしで、逆に賃金が10%もカットされた(サービス業、東京) ◇毎日の労働時間は15時間―16時間。帰宅は午前0時か1時ごろ。北海道や大阪の出張でも日帰り。しかも残業代はなし(語学スクール、27歳男性) ◇朝7時半から毎日会議があり、夜11時か午前0時に帰宅する毎日。週休2日だが土曜日は休めず、有給休暇は使えない。残業代もない(大手商工ローン、30代男性) ◇5日に一度の昼夜勤シフトで、午前8時半から翌日午後5時15分まで連続40時間の不眠不休の仕事になる。負担が重く、何とか是正してほしい(冠婚葬祭業) |
相談件数は三百四件。うち「残業」が二百四十七件、「過労死・労災」が五十七件。相談内容では長時間・過重労働に関するものが百四十二件と半数を占めました。
東京・千代田区の日本労働弁護団事務所に設置された「一一〇番」には、相談開始の十時から電話が鳴りやまず、十人を超える弁護士が応対に追われました。
労働時間が月五百時間にのぼるという電話関連会社の男性(36)は「週二日が徹夜、残りの三日が深夜三時まで。こんな生活が二年以上続いた。うつ病にかかり、現在休職中。労災申請したい」と助けを求めました。
「妻も子どももいる。いつ倒れないかと心配でならない」と訴えてきたのは大手コーヒーショップチェーンの男性店長(26)。連日朝五時に出社、深夜一時に帰宅する毎日で、しかも残業代も出ない、どうしたらよいかと相談を寄せました。
うつ病で休職中というタイヤメーカーの男性(30)は「職場の三割がうつ病になっている」と震える声で訴えてきました。
日本労働弁護団の棗一郎事務局次長は「リストラによる人員削減の影響が顕著。違法な残業が横行しており、労基法違反の申告のとりくみを強めたい」と話しています。
◇
「一一〇番」には二、三十代の若い男性からの相談が目立ちました。総務省の「労働力調査」でも、過労死する危険性が高い年間三千時間(週六十時間)に達する層はこの数年来増えており、三十代の男性ではほぼ四人に一人の割合です。
こうした実態を反映し、仕事上の過労が原因でうつ病などの精神障害を発症したとして労災請求した件数が、今年度上半期(四−九月)で二百件を超え、年間で過去最多だった昨年度同期を四割近く上回っています。
サービス残業は平均でも年間二百時間を超えており、この分を新規雇用拡大にまわせば百六十万人もの雇用が生まれるといわれます。サービス残業、長時間労働をなくすことは急務です。