日本共産党

2003年11月22日(土)「しんぶん赤旗」

障害者支援費制度

国予算52億円不足

厚労省に 共産党が対策申入れ


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支援費制度で必要な財源確保を厚労省に申し入れる(左から)日本共産党の小池参院議員、山口衆院議員=炮日

 障害者が事業者と契約してホームヘルプサービスなどを受ける支援費制度が今年四月から始まりましたが、サービスの利用が増加して必要な予算が不足する恐れが出ています。

 日本共産党国会議員団は二十一日、この問題で厚労省に申し入れを行い、必要な国庫補助金や来年度予算での確保を求めました。

 厚労省調査ではホームヘルプサービスの利用実績が四、五月で昨年度比一・三五倍─一・五倍に増えました。この利用実績をふまえれば、国が事業費の二分の一を補助するためには五十億円程度不足します。

 利用増に見合った国庫補助金が確保されなければ、地方自治体のサービス供給が抑制されることになり、障害者団体から不安の声があがっています。

 日本共産党の山口富男衆院議員、小池晃参院議員は「障害者がサービスを『選択』できるといってきたことに照らしても、財政上の問題からサービスが受けられなくなるとすれば重大だ」として、不足分を確保できるメドなどを尋ねました。

 厚労省の塩田幸雄障害保健福祉部長は「指摘の通りで、このまま財源の手当てができないと地方自治体でのサービスに影響する。年末の予算編成までに最大限努力する」とのべました。


障害者団体が予算増額を要求

 障害者支援費制度で、国が補助金として計上している予算二百七十八億円(二〇〇三年度)を約五十二億円上回る見通しであることが明らかになりました。ホームヘルプサービス事業は、障害者が地域で自立して暮らしていくための柱となるもので、障害者団体などから予算の増額を求める声があがっています。

 身体介護、移動や家事の援助のためのホームヘルプサービス事業費は、国がその二分の一を補助し、都道府県と市町村がそれぞれ四分の一ずつを負担しています。

 厚生労働省は、〇三年度の総事業費を五百五十六億円(十一カ月)と試算し、その二分の一の二百七十八億円を予算として計上しました。しかし利用実績は、四月が約五十三億円、五月が約六十億円と、「措置」制度をとっていた〇二年度の月平均額約三十九億六千万円を上回り続けています。この水準の利用が続けば、補助金約三百三十億円が必要となり、五十二億円不足します。

 支援費制度開始を前にした〇二年一月に、厚労省は国庫補助金に「上限」を設けようとしましたが、障害者団体は「利用時間の制限につながり、これまでの制度をくつがえす」と強く抗議。厚労省も「市町村への補助金の交付基準であり、個々人への支給量の上限を定めるものではない」との見解を示しました。

 日本障害者協議会(河端静子代表)ら障害者七団体は十八日に厚労省に「国庫補助を受けられないことになれば、今年度末にサービス縮小を行わざるを得ない市町村が出てくる」「制度の存続にかかわる」と予算の増額を求めました。

 全国知事会からも、憂慮する声があがっています。

 東京都でも支援費制度開始後、ホームヘルプサービスの利用が急増。都がホームヘルプサービスの四─六月の利用実績を調査したところ、全身に障害がある障害者への日常生活支援が約二百三十三時間(一人当たりの月平均利用時間)で〇二年度の一・五倍、視覚障害者の移動介護が約二十三時間で同一・四倍、知的障害者・児の移動介護は約十三時間で同三・五倍と増えていました。

 都は十月末、〇三年度の事業費が当初の見込みを上回り「九億円の補助金が不足する」(都福祉局)と、厚労省に補助金を増額するよう求めました。


補正予算を

 障害者と家族の生活と権利を守る都民連絡会・市橋博事務局長の話 支援費制度が始まるとき、「必要な福祉を」「選択のできる福祉を」「地域で」と言ったのは、どこの誰だったのか。予算が足りなくなるのはわかっていたこと。しかし、障害者にとって、決して満足な状態でない支給量が現状です。国も都も至急、補正予算を組む必要があります。


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