日本共産党

2003年11月20日(木)「しんぶん赤旗」

ハンセン病元患者の宿泊拒否

「恥ずべき不正義」

原告団が抗議声明


 熊本県南小国町にあるアイレディース宮殿黒川温泉ホテルが、国立ハンセン病療養所・菊池恵楓園の在園者の宿泊を拒否した問題で、同園のハンセン病訴訟原告団と同弁護団は十九日、同園で記者会見し抗議の声明を発表しました。

 声明では、国の隔離政策は違憲と断じた熊本地裁判決を「知ろうとせずに知らないことは法治国家の国民として恥ずべきこと」と指摘。「かつてハンセン病を病み、そして治った、その人たちがなぜ『他の客に迷惑』『客の懸念に考慮』されなければならない対象であるのかを問うものである」として、「法・人道・社会正義に照らしても不正義であり、あからさまな確信的な差別の萌芽(ほうが)を許さないために、いま何をなすべきかを主権者である国民の皆様に訴える」としています。

 会見で原告団の志村康副団長は退所者から、「脳天を殴られた感じがする」とのメールが寄せられたことを紹介。「(判決で)国が謝罪し、社会復帰者も出ている。その人たちが喜んで生きていけるか懸念していると思う。こころない人がいる」と批判しました。

 弁護団は「国が意図的に恐ろしい伝染病だと宣伝してきた結果だ。一ホテルの問題ではない。県はきびしい姿勢をとったし、町長も行動した。国はどうするか見すえていきたい。厚労省への要請行動もしていく」と語りました。

旅館業法違反で告発も 法務省

 熊本県南小国町の「アイレディース宮殿黒川温泉ホテル」がハンセン病の元患者の宿泊を拒否していた問題で、法務省は十九日、人権侵害が認められた場合、同ホテル側に対し、是正勧告か旅館業法違反容疑での告発を検討していることを明らかにしました。同法は「宿泊者が伝染病と明らかに認められるとき」など例外を除き、宿泊を拒めないと定めています。

総支配人が謝罪

 熊本県南小国町の「アイレディース宮殿黒川温泉ホテル」がハンセン病の元患者の宿泊を拒否していた問題で、同ホテルの前田篤子総支配人は十九日夕、国立ハンセン病療養所菊池恵楓園(同県合志町)を二十日に訪れ謝罪する意向を太田明・入所者自治会長に電話で伝えました。


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