日本共産党

2003年11月19日(水)「しんぶん赤旗」

韓国併合は総意 植民地支配は人道的

石原都知事発言に内外の批判

“歴史偽る”“言葉失う”


 戦前の日本の朝鮮半島植民地支配を正当化し、免罪する石原慎太郎東京都知事の暴言が、国内外から大きな批判を浴びています。歴史の真実をゆがめ、アジア諸国との友好関係に逆行する石原知事の暴言を許すのかが、問われています。

広がる謝罪・撤回要求

 石原知事は十月二十八日、都内で開かれた集会で、「武力で侵犯したんじゃない」、「(韓国併合は)彼らの総意で行われた」、「どちらかといえば、彼らの先祖の責任」と発言。同月三十一日の記者会見でも、「日本がやった植民地主義は、人道的で、人間的だった」などとのべ、開き直りました。石原知事は、発言の撤回や謝罪をするどころか、その後も、「それが歴史の真実」などの“虚言”をくりかえしています。(語録参照)

 歴史の事実をみれば明白なように日本の朝鮮半島植民地支配は、石原氏の言う「彼らの総意」でもなく、「人道的」、「人間的」なものでもありませんでした。

 石原知事の暴言に対し、日本共産党都議団は十月三十一日、「戦前の日本帝国主義による朝鮮半島の植民地支配という歴史的事実をゆがめるもの」、「都知事として断じて許せるものでない」と厳しく批判し、撤回・謝罪を要求。在日本大韓民国民団(民団)や在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が批判の声明を出し、都庁前で集会が開かれるなど、撤回・謝罪を求める抗議運動が広がっています。

 韓国の主要各紙もあいついで社説で批判しました。

 自民・公明政権が戦後初めて、戦闘状態にある場所への陸上自衛隊の派兵を計画し、憲法改悪の動きも強まるなかで、「かつてきた道」への歴史の逆行を許さないためにも、良識の力の発揮が求められています。

 (東京総局 中村圭吾記者)

武力で押しつけた併合

 日本の朝鮮半島植民地支配は、最初から最後まで、軍事力による脅しによって行われました。

 一八七六年、朝鮮半島支配を狙う日本は、軍艦六隻、砲兵一個小隊、歩兵一個中隊をひきつれて、「武力の威嚇」で開国を要求し、「日朝修好条規」を締結。一八九五年には、日本の公使・三浦梧楼の指示で、王宮に乱入した日本人が、反日派だった王妃・閔妃を惨殺する事件まで引きおこしました。一九〇五年には、日本軍の歩兵一個大隊、砲兵中隊、騎兵隊が「演習」と称して示威的な軍事行動をとるなか、伊藤博文と韓国駐在軍の司令官長谷川大将が、憲兵を引き連れて王宮に押し入り、韓国を主権を持たない従属国にする「韓国保護条約」に強引に「調印」させました。

 一九一〇年八月、日本が当時の韓国を「併合」し、同国にたいする植民地支配を本格化した「日韓併合条約」は、韓国政府や国民の反対を抑え込むために、陸上で騎兵と歩兵の部隊が二千数百人、海上で艦隊が示威行動を行い、首都を戒厳下においたもとで結ばれたものです。

 朝鮮半島各地では、日本の支配に対する義兵闘争が起き、一九一九年の三月一日、各界名士が「民族代表」として署名した独立宣言書をかかげ、民衆がいっせいに「独立万歳」を叫んだ「3・1運動」をはじめ、日本の軍隊や警察の残虐な弾圧のもとで、民族の誇りを回復する独立運動がたたかわれました。

 石原知事の「決して武力で侵犯したんじゃない」などという主張が、虚言であることを、歴史の事実は明確に示しています。

石原知事の暴言

 総意で合併 先祖の責任 「私たちは決して武力で侵犯したんじゃない。むしろ朝鮮半島の国々が分裂してまとまらないから、彼らの総意で、ロシアを選ぶか、シナを選ぶか、どっちにするかということで、近代化著しい同じ顔色をした日本人に手助けを得ようということで、世界中が合意した中で(日韓合併が)行われた」「私は日韓合併の歴史を100%正当化するつもりはない。彼らの感情からすればいまいましいし、屈辱的でもありましょう。しかし、どちらかといえば、彼らの先祖の責任」(十月二十八日、都内で開かれた集会で)

 日本の植民地主義は人道的、人間的 「(フランスのインドシナ半島支配やアメリカのフィリピン支配)こういったものに比べれば、日本がやった植民地主義というのはまだ人道的で人間的だったと思う」(十月三十一日、都庁記者会見)

韓国マスコミが批判

 石原都知事の妄言は日本の恥 中央日報(電子版)社説 十一月三日付

 >われわれは、日本国と日本社会に厳しく問いたい。そうした妄言が、あなた方の「本音」なのか。(略)

 日本の良心が日本を救わなければならない。日本が誤った過去の歴史を反省し、アジアの周辺諸国を尊重、世界と共存できる正常な国家になるよう期待したい。

 日本の良識はどこに行ったのか 東亜日報(電子版)社説 十一月二日付

 歴史の主人公は国家と国民だ。日本の歴史歪曲妄言は、日本の指導層から持続的に出ている。有力人士らの妄言は、日本がまだ真正な先進国の列に上がることができなかったという事実を立証するだけだ。日本国民はこの点を一日も早く悟ってほしい。

 「石原妄言」日本国民の代弁か 朝鮮日報(電子版)社説 十月二十九日付

 日本国民は石原都知事を通し、一体どんなメッセージをアジア諸国に伝えようというのか。過去の侵略の歴史を消し去ることで、新たな侵略の可能性を開拓したい欲求を、石原都知事が代弁していると受け止めてもいいというのか。そうでなければ、日本国民はもう「石原シンドローム」を整理しなければならない。日本は、石原都知事のような政治家が幅を利かすよう放置しておく限り、アジア国家との和合は諦めざるを得ず、世界の指導国はおろか、「異質国家」として空回りするほかないだろう。


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