日本共産党

2003年11月18日(火)「しんぶん赤旗」

弁護士費用は 1億1400万円

情報開示請求で判明

金融公庫裁判の例をみると

敗訴者負担になったら大変


 国民生活金融公庫(東京都千代田区、薄井信明総裁)の労働者がたたかっている賃金・昇格差別などの不当労働行為をただす裁判で、公庫側の弁護士費用が一億一千四百万円にのぼっていることが、労働者側が行った情報開示請求で分かりました。裁判をたたかってきた国民金融公庫不当差別撤廃闘争支援中央共闘会議の労働者たちは、「司法制度改革で論議されている弁護士報酬の敗訴者負担制度が導入されたら、全額負担でなくても、とても払えない金額。敗訴者負担は、働く者が裁判する権利を奪うもの」と話しています。(川田博子記者)

 労働者による公庫とのたたかいは、東京地裁への提訴以前の東京都地方労働委員会のころを含めると、二十年近くになります。

 労働者の一人、福地春喜さん(63)は「中小企業などに融資する公庫の原資は年金の保険料や郵便貯金で、国民が払っている大切なお金です。そのお金が、この間、一億一千万円余りも労働者いじめに使われてきたと思うと、怒りがこみ上げてきます」といいます。

 昨年十月、都労委などでの係争にかかわる弁護士費用と会議費にかんする文書の公開を請求したのは賃金差別闘争連絡会常任幹事の土井清さん(67)。しかし開示されたのは弁護士費用を黒塗りにした文書やわずかな会議室借用書などで、「実質、不開示と同じ」(土井さん)でした。

 土井さんは、不服申し立てをし、今年三月、内閣府情報公開審査会で早急な開示を求めて口頭で意見をのべました。

 「情報公開法の趣旨は情報を国民に開示することによって、行政の円滑化や民主化を促進するものである」

 意見を受けて同審査会は公庫に、弁護士への着手金や中間金の支払い額の開示を命令。そのなかには、公庫の担当職員が「備忘録」として所有していた文書も含まれていました。

 福地さんは、弁護士費用の敗訴者負担制度導入について、政府の司法制度改革推進本部の意見募集に反対意見を提出しました。

 「これだけの金額を払える国民がいるでしょうか。国民のお金を使える公庫だからこそできたこと。敗訴者負担は国民のたたかいの手を縛るものです」

 【たたかいの経過】 全国十四都府県の公庫職員十九人が、組合活動を理由とした賃金・昇格差別の是正を求めて一九八九年、都労委に提訴。国民金融公庫不当差別撤廃闘争支援中央共闘会議の結成など運動の広がりの中、都労委は九五年、「十九名への差別は不当労働行為であり、是正すべき。公庫は謝罪文を掲示せよ」との救済命令を出しました。公庫は、都労委を相手取り、命令取り消しを求めて東京地裁へ提訴、数回に及ぶ裁判官の和解勧告も拒否しました。二〇〇〇年二月、三人しか救済が認められない不当な判決が出されました。双方が判決を不服として控訴し、東京高裁で結審し、判決が待たれています。


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp