日本共産党

2003年11月17日(月)「しんぶん赤旗」

右翼に巨額資金提供

武富士 社内文書で判明


写真
武富士の領収書添付用紙につけられた右翼団体発行の500万円の領収書(上)
右翼団体に機関紙購読料を支払う稟議書の一つ(下)

 盗聴事件で元専務、元課長が逮捕されたサラ金大手「武富士」(東京都新宿区・武井保雄会長)が、複数の右翼団体に「寄付」や「機関紙購読料」として巨額の資金提供をしていたことが、本紙が入手した文書でわかりました。元課長は、これらの資金提供が右翼団体からの「武富士批判をおさえる」ためだったと証言しています。

元課長「批判抑える目的」

 本紙が入手したのは、右翼団体「薫風同志会」に五百万円を寄付したことを示す武富士社内の稟議(りんぎ)書とその領収書、同じく右翼団体「大行社」「大日本朱光会」「日本文化政治研究会」に機関紙購読料などを支払う稟議書(いずれもコピー)。

 この資料は、盗聴で逮捕された武富士元法務課長中川一博容疑者(42)が同社から持ち出した資料の一部で、同容疑者が業務上横領罪で起訴された裁判で証拠として提出されています。

 中川容疑者は法廷で、持ち出しは「身の保全と内部告発のため」と説明。資料は「武富士が交際していた右翼団体等の組織、例えば(指定暴力団の)住吉会系、稲川会系、山口組系などにたいし、『機関紙購読代』『名刺広告代』名目で支払いをする際の稟議書で、最終的に武井保雄会長の了承をもらって支払いをした」と陳述しています。

 一九九五年五月に五百万円を支払っている「薫風同志会」は、暴力団幹部も参加する菊守青年同盟の加盟団体。支払いの稟議書には、盗聴事件で逮捕された同社元専務小瀧国夫容疑者(61)ら、役員の印鑑がおされています。支払い理由は「賛助金」。中川容疑者は法廷で、「武富士の経営体質を批判していた薫風同志会(菊守青年同盟)に対して、これをおさえるために支払った」と証言しています。

 このほか、▽住吉会系「大日本朱光会」に機関紙購読料半年分二件、計百万円(九五年、九七年)▽稲川会系右翼団体で高知県知事公邸への街宣車突入事件を起こした「大行社」に名刺広告代三万円(九〇年)、機関誌購読料二年分計二十万円(九六、九七年)▽山口組後藤組系「日本文化政治研究会」に機関誌購読料一年分十二万円(九六年)――を支払う稟議書があります。

 稟議書の約半数は、会社名が武井会長のファミリー企業「東亜」「保井」となっており、武富士渉外担当者や役員の印鑑がおされています。中川容疑者は「東亜をはじめ、いくつもある武井会長のファミリー会社は、武富士のダミーとして、右翼団体等に対する支払い窓口として利用されていた」と法廷でのべています。

 武富士と右翼・暴力団の関係では、同社の株式店頭公開(九六年)をめぐり多数の右翼団体が街宣などの妨害活動を行い、それを武井会長の指示で山口組系後藤組幹部(右翼団体「富士連合会」会長)に依頼し解決した、と事実認定する民事訴訟判決がことし確定しています。


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