日本共産党

2003年11月13日(木)「しんぶん赤旗」

ILO・ユネスコ

「教員の地位勧告」に抵触と指摘

文科省 「指導力不足」新勤務評価


 文部科学省がすすめる「指導力不足教員」政策と新しい勤務評価(人事考課制度)の導入は「教員の地位に関する勧告」に抵触している―。全教(全日本教職員組合)は十二日、ILO(国際労働機関)・ユネスコ(国連教育科学文化機関)「教員の地位勧告」共同専門家委員会がこうしたリポートをだしていることを明らかにしました。ILO理事会とユネスコ執行委員会の承認を経て、全教と日本政府に通知される予定です。

 文部科学省は教育委員会が一方的に「指導力不足」と認定した教員を学校から排除するための法整備を実施し、さらに管理者からみて優秀とされる教員を表彰し、賃金でも優遇する制度を導入しようとしています。

 全教は昨年六月、「指導力不足教員」政策と新しい勤務評価の導入が、子どもと教育にゆがみをもたらし、教職員の労働条件にもかかわる重大な制度変更であるにもかかわらず、文科省・教育委員会が教職員組合との交渉を拒否してきたことを指摘。これらの制度は、本人への説明や不服申し立て権が制度化されておらず、プロセスがきわめて不透明であり、関係教員団体との事前協議や教員評価の客観性などを求める「勧告」を順守していないと専門家委員会に申し立てていました。

 専門家委員会は、教員団体との協議がなかったと認定。教員の指導力を評価する機関から現職の教員が排除されており、非公開でおこなわれることは「他国では見られない」と批判。勤務評定について、「過去に実施された多くの勤務評定制度は公正かつ有効に適用されず、結局は廃止されている」とのべ、主観的評価が行われることや教員が評価の詳細や根拠を知る権利が与えられていない―をあげ、「『勧告』に抵触していると結論する」と指摘しています。

 リポートは、ILO理事会とユネスコ執行委員会にたいし、日本政府と全教が「建設的な」対話をするよう勧告しています。全教は、リポートについて「日本の教職員組合運動の共有財産」との談話を発表しました。


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