2003年11月12日(水)「しんぶん赤旗」
九日開票された今回の総選挙結果をみると、大政党に有利で、民意をゆがめる小選挙区制度の弊害が改めて浮き彫りになっています。
小選挙区制は、得票第一位の候補者しか当選しないため、得票率と議席の割合が大きく乖離(かいり)してしまいます。
今回も、第一党である自民党は、小選挙区での得票率は43・8%なのに、議席占有率は三百選挙区の56%にあたる百六十八にものぼります。
実際に得た国民の支持の割合よりも、議席の割合が圧倒的に多い結果となっており、「四割の得票で六割の議席」という傾向は依然として続いています。それだけ、国民の民意はゆがめられているのです。
逆に、日本共産党の場合は、8・1%の得票率を得ましたが、議席はゼロという結果になっています。
小選挙区制は、第二位以下の得票が議席に結びつかないため、いわゆる「死票」も多数生みだします。
今回、三百小選挙区で議席に結びつかなかった票は、計二千八百二十三万票余で、有効投票数の48・5%です。五割近くの民意が切り捨てられていることになります。
この民意切り捨てと戦後二番目に低かった投票率との関係を指摘する声もあります。川人貞史・東北大大学院法学研究科教授は「投票率が低かったのは、小政党を支持する層が二者択一という単純過ぎる選挙の核心を見抜き、投票を敬遠した面もあったのではないか」(「毎日」十日付夕刊)と指摘しています。
一方、民意を反映するはずの比例代表制も、小選挙区制との並立による影響を大きく受けています。
川人教授は「比例代表は本来、中小政党も議席が獲得できるようにしたものだが、小選挙区中心の制度に引っ張られる形となった」(同前)と指摘。小選挙区での投票が比例での投票行動に影響した点を指摘します。
また、比例代表が全国十一のブロックに分かれているうえ、定数が前回から二十削減されたため、ここでも大政党に有利な結果が出ています。たとえば、自民党は35・0%の比例得票で38・3%の議席を獲得。民主党も37・4%の得票で40%の議席を占有しました。
逆に、日本共産党は7・8%の得票で5%の議席、社民党は5・1%の得票で2・78%の議席占有率となっています。
「朝日」十一日付は、「自民党は共産党の4・5倍の得票で、7・7倍の69議席を得た」と指摘しています。