2003年11月7日(金)「しんぶん赤旗」
消費税の税率引き上げを主張している政党の政治家のなかに、消費税は低所得者にやさしい税制だという人がいます。
たとえば、民主党の枝野幸男政調会長は「所得の低い人は消費する量も少ないわけだから、(消費税)1%は小さい。所得の大きい人は使う額が大きいわけだから1%は大きい。この方がずっと所得の低い人に対しては優しい制度になる」(十月五日、NHKテレビ番組)などとのべています。
果たしてそうでしょうか。いま消費税の税率は5%です。1%引き上げて6%だとしましょう。
月収百万円のAさんが月三十万円の買い物をしたとすると、消費税は一万八千円とられます。月収二十万円のBさんが月十万円の買い物をしたとすると、消費税は六千円とられます。
Bさんの月収がAさんの五分の一だからといって、低い月収のBさんの、生活必需品も含む買い物が同じ五分の一には普通なりません。
この場合、どちらの人の負担が重いのでしょう。ちょっと電卓で計算してみましょう。
消費税の収入に占める割合はAさんの場合1・8%です。Bさんは3%です。Bさんの方が重くなります。
もっとわかりやすいのは、AさんもBさんも同じ値段の買い物をしても、収入に占める消費税の負担割合はBさんの方がはるかに重いということです。
所得が低いほど負担が重い。これが、消費税という税制がもつ逆累進性といわれるものです。弱い者に冷たい「福祉破壊税」とよばれるゆえんです。
食料品には税を軽くする軽減税率を適用するから大丈夫だという人もいます。
これも安心するのは早すぎます。食料品には消費税はかけないといっているのではありません。
政府税調の石弘光会長は消費税を10%以上の二ケタ税率にするときも、食料品はいまの5%にすえ置く案を口にしています。決してゼロにするとはいいません。
日本経団連の事務局幹部は、消費税を10%にした場合、軽減税率は8%にしたいといっています。食料品をゼロにする考えは毛頭ありません。
「消費税は優しい税制」などという宣伝にまどわされて、増税反対の手をゆるめたらたいへんです。