日本共産党

2003年11月4日(火)「しんぶん赤旗」

経済・財界気流

二大政党制への“期待”

献金も利用 政策コントロール

自民こけても民主で受け皿


 「政権選択」を掲げた自民党と民主党が「構造改革」、改憲、消費税アップなどの悪政競争を繰り広げています。二大政党制の確立で、いっそうの財界本位、大企業本位の政治実現をめざした財界の動きも活発になっています。(文中敬称略)

  ある古株の財界ジャーナリストは、「財界はいま、細川内閣以来の漂流船が二大政党制という港にようやくたどり着いた、という喜びに包まれている」と指摘していたよ。

  財界は、自由党の小沢一郎が民主党に合流して、これでやっと念願だった保守二大政党時代になると期待しているからね。

  どういうこと。

  菅民主党は図体(ずうたい)は大きかったが、財界には、経済政策に不信感が根強くあった。この民主党に、自民党の幹事長を経験し、政権の中枢にいた小沢が加わったことで、政権担当能力ができたと見ている。

仲人は京セラ

  新民主党の誕生には、京セラの稲盛和夫名誉会長が仲人役を買って出ていたね。十月十六日付の「朝日」、「読売」、「日経」朝刊に「真の政権選択を考える国民会議」という団体の名で出た「政権交代が可能な国をつくろう」という意見広告も、稲盛が仕掛け人だったようだ。

  憲法問題や消費税増税など、小沢の考え方に共感する財界人が多いのは事実だ。経団連の会長(一九九〇年から九四年)だった平岩外四は、自民党時代の小沢の後援会長だった。前会長(九八年から〇二年)の今井敬も小沢派だ。今井は、小泉「構造改革」に全面支持だったが、道路公団問題で小泉を個人的にも信用しなくなっているというよ。

  財界「奥の院」が新民主党を支持しているわけか。ところで、その民主党は選挙前、財界との懇談を繰り返していたね。

すりよる民主

  日本経団連と七月におこなった意見交換会では、奥田は「民主党は消費者の立場から政策提言すべきだ」といった。その真意について日本経団連事務局幹部は、「(民主党が財界に)『そんなに露骨にすりよってくるなよ』という(奥田会長の)皮肉だろう」と解説していた。

  日本経団連は、日本の産業界の代表が集まっている団体で財界総本山といわれる。その政治的立場は、要求実現のために、常に与党についている。そのため、日本経団連として、表だって野党を応援するわけにはいかない事情があるんだ。

  民主党が十月に経済同友会と懇談したときには、改憲や年金の財源問題で具体的な政策を出すように求められたね。

  経済同友会は経営者個人の集まりで、一企業人としての立場でものをいう財界団体だ。だから、単純小選挙区制や改憲など日本経団連がなかなかいえない政治的発言も自由に政策提言をしている。

  それで民主党は「創憲」や消費税増税、それに比例代表の八十議席の削減をマニフェスト(政権公約)に盛り込んだというわけか。

  財界の中では、小泉「構造改革」の速度が遅い、という不満がある。しかし、自民党と民主党が競い合うことで、「構造改革」も、消費税増税も憲法「改定」も進む、と喜んでいる。

  大企業本位の「構造改革」の推進で国民の批判を受け、小泉内閣がこけても、その受け皿ができた、というわけだ。

  日本経団連は、政策を評価し、それにもとづいて政党への献金を開始する。マニフェスト選挙を提言してきた経済同友会は、投票率向上運動をやっている。今回の総選挙にかける期待は大きいみたいだ。

  そうか。自民党と民主党は「政権選択」を叫んでいるが、どちらも財界戦略の手のひらの上での選択なんだね。国民にとっては、どちらを選んでも悪政がすすむ不毛の選択だ。総選挙では、本物の国民の党、日本共産党の前進で、財界戦略をはね返す必要があるね。


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