2003年11月3日(月)「しんぶん赤旗」
民主党のマニフェストが、“雇用重視”から“軽視”に転換したことに連合内で不満が高まっていますが、問題の背後には財界の怒りがあったとみられています。
民主党と日本経団連はマニフェストをめぐって公式には議論していませんが、日本経団連が民主党マニフェストを草案段階で点検し、問題視した一つは雇用政策でした。日本経団連の関係者はこういいます。
「民主党のマニフェストの草案を見て、奥田会長らが問題にしたのは、主に二つあります。雇用問題が優先され、失業者には月額十万円、二年間支給できるなどとしたこと、そして年金財源に消費税が書き込まれていなかったことです。このマニフェストは大きな政府の考えで、経団連の小さな政府の考えとは違うというものでした」
「小さな政府」とは、財界と小泉政権が推進する「構造改革」路線の一環です。社会保障の予算や公務員削減など、政府がやるべき仕事を減らして、民間に任せるなどというものです。この基本路線に反するものは認められないというのが日本経団連の立場でした。
民主党は草案段階と正式決定したマニフェストとで雇用問題の位置づけを転換しました。当初は民主党の約束として「失業のない、つよい経済を再生します」、「子どもや高齢者、女性が安心して暮らせる社会をつくります」などが中心でした。この内容で労働組合などとも合意していました。それが、「四年以内に公務員人件費一割削減」や「基礎年金の財源には消費税を充て」る、という勤労者、国民に冷たい政策が前面にでることになりました。
元連合幹部の一人はこう批判しています。
「いまの連合は民主党にたいする影響力をまるで持ち合わせていない。旧民主党は戦略もなく旧自由党と合併し、自民党との対立軸も示せずに保守党化に向かっている」