2003年10月31日(金)「しんぶん赤旗」
熊さん ご隠居ー。てえへんだ。あの悪名高き「消費税」が、来年四月から“雲隠れ”するっていうじゃねえか。
ご隠居 消費税が雲隠れする?
熊さん 消費税はちゃあんと取るんだが、それを見えなくするというじゃねえか。
ご隠居 ああ、「総額表示方式」のことだな。
熊さん 何でえ、ご隠居。「総額…」って?
ご隠居 「総額表示方式」ってのは、これまでは値札が百円の商品を買うと、レジで「ハイ、百五円です」といわれ、五円が消費税だと分かる。中には消費税分の持ち合わせがなくてマゴつく人もいた。
熊さん そうだ。
ご隠居 それを「消費者に迷惑がかかるから」とか理屈をつけてね、はじめから「百五円」と「総額」で表示しなさいというわけ。義務化だよ。
熊さん ふーん。するってえと「消費者のため」というわけか?
ご隠居 そこなんだ、熊。よくお考えよ。はじめから「百五円」と表示すれば、そりゃあレジでマゴつかない。しかしね。消費税額は「総額」の中に隠れちゃうから、税を払ってんだという気がしなくなる。商品の値段が百五円なんだという思い込みにつながる。
熊さん あ! なるほど。“雲隠れ”だ。
ご隠居 それにね。百五円なら五円が消費税分だと大体の人は分かる。でも、二千円ならいくらが消費税かい?
熊さん 5%が消費税なら百円だ。
ご隠居 ブーッ。九十五円だよ、熊。千九百八十円なら九十四円。電卓がないとできない。
熊さん なるほど。
ご隠居 消費税が将来10%、18%と増税されたときのことを考えてごらん。国民は怒り沸騰になるはずだ。
熊さん もちろんですよ。ご隠居。
ご隠居 ところが、この方式に慣らされていると、消費税が見えないから痛みも感じなくなるんじゃないか。それが、この方式を導入した政府の本当の狙いじゃないか。
熊さん あ! 分かったゾ。小泉首相は「自分の任期中は増税しない」とかなんとかいって、ちゃあんと準備している。「総額表示方式」ってえヤツは、国民の感覚をマヒさせる麻酔剤だ。
ご隠居 その通り。
熊さん 増税なんて絶対許せねえ。みんなにこのことを知らせなくちゃ。