日本共産党

2003年10月30日(木)「しんぶん赤旗」

総選挙と同時実施

最高裁裁判官の国民審査


 総選挙の投票日(十一月九日)の際に、最高裁判所の裁判官に対する国民審査が行われます。今回、審査に付される九人の最高裁裁判官の経歴、おもな裁判への態度を紹介します。罷免にあたいする時には、×印をすることで意思表示することができます。

 最高裁裁判官(定員十五人、定年七十歳)の国民審査は、政府任命の最高裁人事の適否をチェックし、不適格裁判官を罷免することを本来の目的としています。現行の国民審査は法律上、個々人ごとに×印をつけるか、何も書かないか(無記載)の二通りしか認めていません。従って無記載は「信任」と見なす仕組みで、棄権する場合は用紙を返却してください。


裁判官の経歴

 深澤 武久(ふかざわ・たけひさ)

 第一小法廷、69歳。

 東京弁護士会会長・日弁連副会長、法制審議会委員などを歴任。

 日独裁判官物語の制作支援呼びかけ人。陪審制には「司法の民主化には望ましい」との意見。法曹一元化は「理念としては正しいが、条件整備が必要だ」との見解。鹿児島県知事大嘗祭参列事件で合憲判決。公職選挙法違反・戸別訪問禁止祝事件で合憲判決。全税関神戸損害賠償訴訟の差別否定判決で反対意見。

 濱田 邦夫(はまだ・くにお)

 第三小法廷、67歳。

 第二東京弁護士会副会長、日弁連外国弁護士対策委委員長、国際的な金融取引契約にかかわる「渉外」が専門。

 小選挙区比例代表並立制下で実施された二〇〇〇年衆院選につき、格差違憲の反対意見。

 横尾 和子(よこお・かずこ)

 第一小法廷、62歳。

 旧厚生省老人保健福祉局長、社会保険庁長官、アイルランド大使。女性として歴代二人目の最高裁裁判官。

 豊田商事国陪訴訟で被害者側の上告を棄却。日本生命と住友生命が自民党などへの政治献金にかかわる代表訴訟で加入者側の上告を棄却。知事が大嘗祭に参加した行為を違憲とする住民訴訟で合憲判決。

 上田 豊三(うえだ・とよぞう)

 第三小法廷、66歳。

 最高裁経理局主計課長、司法研修所教官、首席調査官、東京地裁所長、大阪高裁長官などを歴任。

 判事生活の約半分は司法行政に関与。調査官として千葉県議会議員定数訴訟などを担当。法曹一元化には慎重な見解。公取委記録開示訴訟で住民の記録閲覧謄写の権利を認める判決。

 滝井 繁男(たきい・しげお)

 第二小法廷、66歳。

 日弁連研修委委員長、大阪弁護士会会長・日弁連副会長。

 国籍法三条の規定は「違憲の疑いが濃い」との補足意見。非嫡出子(婚外子)の法定相続分差別は憲法一四条に違反するとの反対意見。外国人刑事被告人との法廷内でメモのやりとりを検閲するのは、特段の事情がない限り違法と指摘。

 藤田 宙靖(ふじた・ときやす)

 第三小法廷、63歳。

 東北大学教授、同法学部長、行政法専攻、国土審議会委員、情報公開審査会委員、中央教育審議会専門委員などを歴任。

 兵庫県篠山町が戦没者遺族に線香やろうそくを配ったことは違法でないとの判決。

 甲斐中 辰夫(かいなか・たつお)

 第一小法廷、63歳。

 東京地検、札幌地検、最高検検事、東京地検検事正、東京高検検事長などを歴任。

 連合赤軍事件や三島由紀夫割腹自殺事件など公安事件を担当。オウム真理教事件、薬害エイズ事件の捜査指揮。土地賃貸借契約の中に賃貸料を自動継続する特約があっても借地借家法にもとづき賃貸料減額を求めることができるとして、東京高裁判決を破棄。

 泉 徳治(いずみ・とくじ)

 第一小法廷、64歳。

 最高裁人事局任用課長、最高裁調査官、人事局長、浦和地裁所長、最高裁事務総長などを歴任。

 事務総長時代は司法改革の最高裁意見の取りまとめ役。労災就学援助費の不支給決定は、抗告訴訟の対象となる行政処分にあったとして高裁判決を破棄。婚外子の相続分差別事件では、憲法一四条違反とする反対意見。

 島田 仁郎(しまだ・にろう)

 第一小法廷、64歳。

 大阪地裁判事、司法研修所教官、最高裁調査官、刑事局長、仙台高裁長官、大阪高裁長官などを歴任。

 埼玉・所沢中自動車教習所労組弾圧事件で上告棄却。町の新庁舎落成で来賓に町内で使用する商品券を記念品として配布したのは違法でない、との判決。


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